2016年11月16日

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全学労連ニュース今号の内容

 10.17全学労連 文科省交渉報告  文科省は妙なイロケではなく、劣悪な労働環境の是正に力を注ぐべきだ

 移譲後の欠員代替、ハーフタイム2名で対応(名古屋市)  学校事務職員の仕事を当局はわかっているのか?  退職者嘱託員がカバーするというが…

 政令市移管、横浜で様々な動き  学校事務支援に係長が?!

 横浜新人学校事務職員解雇事件  地裁勝利判決へ最後のご支援を!

10.17全学労連 文科省交渉報告

文科省は妙なイロケではなく、劣悪な労働環境の是正に力を注ぐべきだ

 去る10月17日、全学労連は「学校労働者の労働条件改善に関する秋季要望書」(前号参照)をもとに文部科学省と交渉を行なった。今交渉は、「チーム学校」や文科省概算要求の中で、学校事務職員など教員以外の学校スタッフの充実が言われているが、学校現場では「学校事務の共同実施」、学校事務職員の定数割れや未配置など、およそ現状が伴っていない点を指摘。また、教職員給与費の政令市費化に伴い、学校職員の労働環境に大きな差がでてきていることなどの現状を訴え、文科省に改善や助言をするように申し入れた。

要望事項当初回答

1 2017年度概算要求に関して

@

 現行の「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」の趣旨を遵守させるための具体的措置を求めます。

B  文科省も「加配定数は安定的・計画的な採用・配置につながりにくい」と認めているように、定数内「非正規事務職員」が増加しています。このことに歯止めをかける具体的措置を求めます。

 標準法は学校におくべき職員を規定しており、文科省は法を守れという立場にある。標準法通りに配置されることが望ましい。ただ、各地の事情により実際の配置については各都道府県の責任の下に行うことになっている。

 教員については、特にそれだけを抜き出して作成した資料により指導している。また、ヒアリング等で非正規の多いところへは趣旨を説明し、今後どうしていくのかも含めてやっている。

A  上記のような定数未配置をもたらす「義務教育国庫負担法」の総額裁量制度を廃止することを求めます。

 総額裁量制は、標準法定数に単価をかけて国庫負担金を算出し、その範囲内で給与や配置等の裁量を拡大するもので、適切に配置されるよう措置している。各都道府県の地域の実情をより生かすものだと理解している。

2 「学校事務の共同実施」に関して

@  「学校事務の共同実施を行うための組織の法律上明確化」とは何かを、「どの法律をどのように改正するの」など具体的に説明してください。

A  上記法改正について「28年度を目途に」とされていますが、進捗状況を教えてください。

 法改正については現在検討中であり、回答できない。

3 「チーム学校」について

@  事務職員の「職務規定の見直し」を提案していますが、どのようなことを目指しているのか説明してください。また、「28年度を目途に」とされていますが、進捗状況を教えてください。

 法改正については現在検討中であり、回答できない。

A  市区町村費事務職員の配置状況を把握しているならば、公表してください。

 市町村費事務職員の配置状況は承知していない。学校基本調査で出てくるものしかわからない。

4 政令指定都市の義務教育国庫負担金に関して

@  義務教育費国庫負担金の政令市費化に伴う学校事務職員の労働条件の引き下げ等に関して、文科省独自の歯止め策はありますか。

 政令市移管については国庫負担金の行き先が道府県から各政令市に替わるだけで、職務内容の変更等を及ぼすものではない。標準法に基づき配置がされるし、勤務条件も地方公務員法24条に基づき決められるべきことを既に通知しているところである。それぞれの市ごとに幅広く移管に向けて準備がされていると理解している。

A  2で指摘した市区町村費事務職員の交付税措置と国庫負担対象事務職員に関して総務省と協議したことはありますか。

 検討中のため回答を控える。

 これらの当初回答に対し、次のようなやり取りをおこなった。

総額裁量制は百害あって一利なしだ

組: 総額裁量制について、この間文科省から資料提供を受けて分析しているが、その結果、事務職員定数が教員に食われている実態を見てきている。それは全国的な広がりを見せている。それを許すものは何か。標準法定数を守ることが望ましいと回答されたが、そうなっていない現実をどうしていくのか、ということを聞いている。具体的な手立ては考えていないのか。

文: 実際の配置は各都道府県の裁量で行ってもらうこと。文科省としては定数の標準を示すだけだ。その上でどうするかは各都道府県の責任で決められることだ。

 ヒアリング等で間接的に「標準法はこうなっているけれど」と圧力をかけるというのが今の状態だ。

組: 教員はデータを示して指導しているということだが、事務職員はどうか。

文: 包括的にやっている。個々には各都道府県の実情に合わせて話をしていっている。

組: その効力はどうか。

文: やれることはやっている。ただ、強制することはできない。

組: 東京のことを何時も出しているが、教員を増やす代わりに事務職員等を減らすという顕著な例だ。

文: 国庫負担法上、配置できるようにしている。それ以上のことは各都道府県の問題。各都道府県の多様性を無視することになるので、それ以上はできない。

組: 地方の多様性を踏まえて、この線までは配置してねというのが標準法の趣旨だ。それを超える実態があるので組合は言っている。

文: 各都道府県にはそうすべき事情があるからそうなっている。組合は何を言いたいのか。

組: 今ある欠員をなくせということだ。

減少する事務職員定数要求

組: 各都道府県の権限というが、文科省の権限で言えることはあるはずだ。概算要求の内容の在り方は文科省の権限でできることだ。しかし、現在概算にのっている事務職員定数はだんだん減ってきている。それを見ると、地方は事務職員定数は減らしてもいいんだと考えかねない。

文: ここ3年のことを言っていると思うが、事務職員定数に関しては「チーム学校」が大きな柱になっている。教員だけでなく、他職種も含めて活躍してもらうということで加配を付けている。

 今年は通級とかの加配もある。要求そのものはなかなか通らないが、金額はここまで要求する、将来的にはこれを目指す、ということで理解してほしい。

組: 一昨年は事務職員単独、昨年は校長・主幹教諭との組み合わせ、そして今年は養護教諭・栄養教諭。いろいろな職種との組み合わせをコロコロと変えているが、減ってきていることは事実だ。

文: 事務職員がチーム学校の中で果たす役割は変わっていない。人数が減ってきていることは確かなことだが。

組: 言葉だけで持ち上げられても困る。欠員が増える中で大事と言われても信用できない。

文: 組合は「定数が充足される中で職の重要性が担保される」という。我々は「職の重要性を強調することによって配置は促される」と考えている。その辺は方向が逆になっているということか。

共同実施法制化はどうなっている??

組: 共同実施等の法制化について、回答できないということだが、どの部署が担当しているのか。

文: 小中企画課。法案にはまだなっていないということだ

組: 議員立法で法案が出ているが、どのように評価しているのか。

文: 現在、担当がつめているところで、何とも言えない。

組: 立法化のめどはどうか。今行われている国会に出せるのか、出せないのかくらいは言えないか。

文: いつ法案を出すのかということも含めて検討、慎重に進めているということだった。

政令市移管は「機会均等」を破壊する

組: 政令市について、仕事に幅広くということだが、その幅が尋常ではない。

 例えば、名古屋市では産休、育休代替を時給1800円のハーフのパート2人を置くといっている。産代法(女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律)により産休代替については臨時的任用を配置するとなっているにもかかわらずだ。これまで経験のない人が一人職場で代替業務をやるということでいいのか。政令市移管で、各市の制度に合わせるが、これまで学校でやってきたやり方については全く頭にない。

 歯止めをかけなければならないというのは、こういうところに現れている。任用一本化にまで行かなくても、部局に合わせるというやり方によってこれまでの方の趣旨は蔑ろになる。

文: 同じ趣旨の通知を何度も出すわけにはいかない。通知は法の趣旨を踏まえて各市で取り組めということにある。

組: これまで事務職員の労働条件は各県でそれほど違いはなかった。総額裁量制で定数がばらばらになり、給与構造改革で賃金がばらばらになってきた。今では各都道府県で事務職員の労働条件は異なってきている。それでもこれまで積み上げられてきた法の趣旨というのがあるから、一定の共通性は担保されている。

 そういう中での政令市移管だ。法の趣旨とは無関係な部局のやり方の押し付けによって市はもっとひどくなる。

組: 政令市移管は文科省の政策ではなく、地方分権の流れの中で、いわば負けたようなところがある。「教育の機会均等」をもっというべきだ。

文: それは十分承知しているが、・・・。


 当事者意識のない回答はいつもの通りだ。各自治体に判断や運用を任せていると、「教育の機会均等」が壊される、その歯止めとしての文科省という立場でいてもらいたいのであるが、中々理解されないでいる。

 「学校事務職員の職務明確化」や「共同実施の法制化」などを国レベルで規定するより、文科省のその権限は、最低限守らなければならいない事項について、各自治体指導に使ってもらいたい。

全学労連はこれからも、現場の声を、労働者の立場から、文科省に発信していく。



移譲後の欠員代替、ハーフタイム2名で対応

学校事務職員の仕事を当局はわかっているのか?   退職者嘱託員がカバーするというが…

 名古屋市は「権限移譲後の学校事務職員の欠員について民間嘱託2名で対応」する予定であることが明らかになった。ハーフタイムの時間給職員2名で欠員代替するということだ。その欠員は、年度当初の定数欠員のみならず、産休、育休、休職に伴うものも含めてのものだ。今年度までは、仕事に慣れている人によるフルタイムの臨時的任用が欠員代替してきたが、来年度からはそういうわけにはいかないことになった。

「一人職場」には対応できない名古屋市の代替制度

 産休、育休等で欠員が生じた場合、名古屋市にはフルタイムで代替する制度がない。産休、育休取得者の仕事は課内で分担し、代替者には短時間でできる範囲の仕事をさせるのが一般的であることから、30時間の臨時的任用、育休嘱託の制度しかない。

 「一人職場」である学校事務職員については、替わりに仕事をする人がいないということから、全ての時間に事務職員を配置できる制度を作るのだが、「代替職員=短時間」の名古屋市の制度上の壁を突破することができず、この嘱託制度で対応ということだ。

名古屋市の臨時職員制度(代替制度)

 名古屋市の臨時職員は、概ね次の4種類に分けられ、前三つの嘱託員は地公法第3条3項3号の非常勤の特別職という扱い。

(a) 再雇用嘱託員(週30時間)

(b) 退職者向け局嘱託員(週30時間)

(c) 民間嘱託員(週30時間)(時給換算でハーフタイムもあり)

(d) アルバイト(臨時的任用職員)(時給830円)

 (a)(b)は退職者を対象としたもので、再任用以外にこういう働き方があるというもの。(c)は公募によるもので、退職者を対象としたものではないという意味で「民間嘱託」という言い方をしている

来年度以降、学校事務は回るのか??

 代替職員は短時間ということから、当初はアルバイト(臨時的任用)で対応することを考えていた模様だ。アルバイトの時給830円は名古屋市の最低賃金に等しいもので、これでフルタイムを働かせようというのだから人は集まらない。ということで、民間嘱託員の勤務時間は週30時間が基本だが、報酬月額を時給換算(時給1800円)してハーフタイムという働き方で対応することを考え出した。

 民間嘱託員には通勤手当以外の諸手当は支給されず(一時金もない)、年収水準は180万円程度と言われている。ハーフタイムだから社会保険も適用されない。現在の愛知県の臨時的任用はフルタイムで一時金も合わせて年収水準は300万円〜400万円だ。社会保険も適用されている。

 これまで、教育委員会は、欠員が生じた時には退職者や学校事務の仕事をよく知っている人を時には頼み込んで臨時的任用してきた。これまで産休、育休、休職代替の場合、年度をまたいで任用されてきたが、今回の移管により、4月からは、その人たちはハーフの低賃金・その他の社会保険もないため働くかどうかの選択を迫られることになる。

 また、「公募」だからこれまでのような「退職者や学校事務の仕事をよく知っている人に頼み込む」ということもなくなる。これで、代替者は集まるのだろうか、はなはだ疑問だ。市教委は、代替者が決まるまでの間、学校事務集中センターに配置(予定)する退職者嘱託員に代替させると言っている。しかし、退職者嘱託員は欠員補充のために配置されるのではなく、学校事務集中センターの業務のために配置されるもので、必ず手当されるとは限らない。結局は、近隣の事務職員が「好意で」お手伝いすることになりかねないのだ。

欠員補充はフルタイムの臨時的任用をすべきだ

 教職員の欠員補充については、特に産休補充について「女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律」(産代法)で臨時的任用を充てるとなっている。

 法ではフルタイムか否かについて特に定めはないが、教職員を対象としており、教員との間の差を許容するものではない。

 名古屋市は、教員については欠員補充をフルタイムの臨時的任用で対応するとしているが、学校事務職員については行政職員であることをもってハーフ二人で対応するとしている。これは産代法を脱法する行為に等しい。名古屋市は欠員補充を現行の愛知県のようにフルタイムの臨時的任用にすべきだ。

(WEB愛学労より転載)



政令市移管、横浜で様々な動き

 学校事務支援に係長が?!

 この間横浜市では、給与口座振込・旅費口座振込・給与明細電子化の募集、再任用・臨時的任用・非常勤職員の勤務条件などの提案、更に教委事務局との交流人事・新採用研修見直し・職務内容見直し・担当係長事務長の設置が「情報提供」されるなど、いよいよ大詰めの動きが始まった。

給与・旅費の口座振込、給与明細の電子化

 9月13日、市費移管に伴う「第二期臨時業務」として、給与口座振込の募集がなされた。しかし、給与口座振込については、昨年度末以来組合に提案するよう再三に亘って求めていたにもかかわらず、提案がなされなかったものである。しかもその内容を見るや、旅費の口座振込、給与明細の電子化も記載されており、共に組合には提案されていないものであった。

 当然にも組合は翌14日の交渉の冒頭、勤務条件変更の提案のされていないものの募集について追及した。本来であれば募集の撤回ものであるが、早急に提案を受けることとした。

再任用・臨時的任用・非常勤職員の勤務条件

 その14日、やはりこれも6月以降再三要求していた、再任用・臨時的任用・非常勤職員の勤務条件について、漸く提案がなされた。全体としては現行並み乃至微改善、再任用職員については概ね現行通り(給与については既報通り3級格付けで大幅減)、臨時的任用職員については若干の改善(給与上限アップ、病休10日有給、年休付与日数等)、非常勤は改善と言えるか疑問。私たちとしては、原則は正規職員同等に、当面は抜本的改善を求めており、若干の改善に止まることなく一層の改善を求めていく。

教委事務局との交流人事、係長・事務長などの「情報提供」

 教委事務局との交流人事、新採用研修の見直し、職務内容の見直し、担当係長・事務長の設置が、「情報提供」として示された。

 教委事務局との交流人事は任用一本化を見据えたものであり、学校事務職員として採用(労働契約)された者を一方的に事務局に異動させてきた問題と併せ、認めるわけにはいかない。新採用研修の見直しとは本庁新採用研修への一部参加ということだが、本庁新採用研修は現場への配置前に二週間ほど研修のみを行うものであり、学校事務職員は4月1日から現場配置されるのに、現状のまま本庁新採用研修に参加となれば、現行新採用研修もあり、24時間労働でも不足しそうだ。

 また職務内容の見直しと称して新たな業務を強要しようとしているが、庶務事務システムの導入で現行事務の「軽減」があるのか、現行職務標準との関係はどうなのか、それが「教育行政事務への参画」なのか、どう考えても、単なる労働強化でしかない。そして方面別教育事務所兼務の担当係長、特別支援学校への事務長配置、である。

係長・事務長としての4級

 当初、現行6級を3級に留めることから出た「選考の上4級への格付け可能に」という方針は、その後「学校事務体制の強化を目的」として小中学校に方面事務所を兼務する担当係長を、特別支援学校には事務長を「それぞれ配置」という方針になり、さらに担当係長には学校事務支援業務を担ってもらう、共同実施校全てを兼務発令、「手を挙げてもらって選考」などが検討されていることを明らかにしてきた。場合によっては、担当係長が人事評価の一次考課者になることもありうる様だ。事務職員の間に差別分断を導入するだけでなく、権力的な指導非指導さえ持ち込もうというものである。

 何れも、「情報提供」で済まされる問題ではなく、勤務条件の問題として取り組んでいく。

(がくろう神奈川)



○横浜新人学校事務職員解雇事件○

地裁勝利判決へ最後のご支援を!

 8月23日、30日に証人尋問が行われました。2日とも大変暑い中、たくさんの方々に傍聴に来ていただき、誠にありがとうございます。そして私の裁判において、とりわけ多くの勇気とお力、知識をいただき証人に立っていただいた永山さんには、感謝せずにはいられません。本当にありがとうございました。

 23日は相手方の証人ということで、私が免職になる時に顔を合わせた人たちと今一度顔を合わせる日になりましたが、新採用のころあれだけ恐く感じていた市教委の人たちも今見ると恐くは感じず、逆に弁護士の先生方の頼もしさを目の当たりにする日になりました。

 30日の本人尋問では前日から緊張して眠れないほどでしたが、いざ証人として座ってみると私の前に証人に立っていただいた永山さんより、学校事務の現実と建前について明確に違うということを証言していただいたこと、加えて、傍聴していただいている皆様のおかげで緊張することなく臨めたと思います。勝利に向けて一歩前進出来たと感じています。

 裁判が始まって3年近く、皆様にはたくさんのご支援をいただいてきました。ようやく1つの山場を超えたと感じています。しかしながら、結果が出るまではほっとできないのもまた事実です。是非次回、12月15日の弁論で判決に向けての最後のひと押し、今一度お力をお貸しください。よろしくお願いします。

(当該・S)

最終弁論・年度内判決の予定

 12月15日のスケジュール

   9:00 ビラまき(関内駅前)

  10:00 弁論(横浜地方裁判所502号法廷)

    その後、集会



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