2017年2月26日

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全学労連ニュース今号の内容

 文科省「共同学校事務室」法案は(文科省の願望とは関わりなく)事務職員制度解体に道を開く

 来年度予算案の教職員定数  目的別の基礎定数化は人員削減にしかならない  学校現場が求めているのは無条件の人員増だ

 政令市移管を目前にして… 各地の状況

 東京の共同実施最新状況  更なる拡大を許さない!  2017年度は新たな共同実施地区は小金井市1市のみ!  2018年度に国分寺市・立川市・青梅市・国立市が検討

文科省「共同学校事務室」法案は (文科省の願望とは関わりなく) 事務職員制度解体に道を開く

 文科省は「義務教育諸学校等の体制の充実及び運営の改善を図るための公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案」を第193回国会に提出した。この法案は「年度末までに成立しない場合、国民生活や国の活動に重大な影響を及ぼしうる」という「日切れ扱い」とされている。

http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/1381782.htm

 文科省関係の来年度予算の目玉は、通級指導や外国人児童生徒教育充実のための加配定数の基礎定数化にあるのだから、そのための定数関係の法改正は、年度末までに決まらなければ困ってしまう「日切れ法案」であることは確かなことだが、問題は従前と変わらない「加配定数の改善」でしかない「チーム学校」関連の「共同学校事務室」を法案の中に潜り込ませたところにある。

 法案の中の関連する項目の具体は、@標準法の定数加配規定の中に共同学校事務室加配を明示したこと、A地教行法の中に共同学校事務室を位置づけたこと、B事務職員の職務規定を「つかさどる」に改めたこと、だ。

定数合理化の東京型共同実施にお墨付きを与える

 標準法が定める定数は義務教育費国庫負担金を計算するための数字にすぎず、実際の配置は地方に任されるという総額裁量制の趣旨からすると、何のことはない、事務職員定数合理化の東京型の共同実施にお墨付きを与えるものでしかない。そればかりか、落下傘型の共同事務室室長の存在を認めることによって、政令市費化で見られる市長部局の管理職ポストの受け皿としての事務処理センターの存在を法的に認めるものでしかない。

 この法案の附則を見ると「教職員定数の標準については、平成38年3月31日までの間は・・・(児童・生徒数)及び教職員の総数の推移等を考慮し、・・・標準に漸次近づける・・・毎年度、政令で定める」としていることから、来年度から制度が激変するわけではなさそうだ。

 しかし。政令市費化は学校事務職員制度をバラバラにしていく方向に動いている。また、東京の共同実施は事務職員合理化を目的にしている。そして、共同事務室の法制化はそれらの動きに法的な裏付けを与え拍車をかける。学校事務職員制度は国庫負担はずしで危惧したのと形を変えて解体される方向に突き進んでいる。

 全学労連は、この流れに掉さす勢力と対決し、自らの労働条件を守るために全力を尽くす。


来年度予算案の教職員定数

目的別の基礎定数化は人員削減にしかならない

学校現場が求めているのは無条件の人員増だ

 昨年末に来年度予算案が閣議決定され、国会の審議にかけられている。学校で働く我々に大いに影響のある教職員定数のあり方もこの予算案により決まっていく。予算編成に先立つ文科省概算要求の定数計画について「支離滅裂」と批判した(「全学労連」389)ので、今更何かを期待するということも無いが、教職員数の削減を目指す財務省との折衝の結果としての予算案は今後の定数の在り方を見るうえで重要な意味を持つには違いなく、以下資料を見ながら解説してみる。

☆基礎定数化が始まった

 今回の教職員定数関連予算の最大の特徴は、加配定数の基礎定数化へ踏み出したことにある。右の資料にある通り、既存の基礎定数分の移行や加配からの切り替えなどのため増減があるが、

@ 発達障害等の児  童生徒への「通級による指導」の充実等

A 外国人児童生徒等教育の充実

B 初任者研修体制の充実

C 指導方法工夫改善加配の一部

の4項目の基礎定数化を明記し、それぞれ定数1人当たりの対象児童生徒数の基準が示されている。

 このうちBとCは、昨年8月の文科省の概算要求では基礎定数化も加配での要求も無かったものであり、予算編成過程の協議で出てきたのだろうが、理由は不明である。Cは定数の基準も示されておらず、単純に加配を減らすために基礎定数化を口実に使っただけかもしれない。

 財務省の資料にも「@〜Bについては、平成38 年度までの10 年間で順次基礎定数化」とあり、Cは別扱いである。今まで将来に渡り法的に定数を縛ることになるとして、基礎定数化にずっと難色を示してきた財務省がこのように言うのは画期的なことには違いないが、別の見方をすれば、これ以外は基礎定数化させないぞという決意表明とも解釈できる。

☆基礎定数化なら全ていいのか?

 全学労連は、以前から加配方式による定数「改善」を批判し、児童生徒数や学級数のような客観的な数字に基づく定数改善を求めてきた。なぜなら、使い道の目的を限定して行われる加配は、目的が無くなれば引き剥がされるということであり、配置も雇用も不安定な教職員を増加させる上に自治体間の定数格差をもたらすからだ。しかも客観的な基準に依らないが故に、政令を発する文科省の恣意的なお手盛りになる恐れがある。現に産休・育休・休職等の代員で元々他の公務員職場と比べて多かった臨時的任用や非常勤職員が、加配制度によってさらに増加するという事態が全国的に進んでいる。

 来年度予算でやろうとしている基礎定数化は、客観的な数字に基づくものであるには違いなく、文科省の恣意性を正すという点では有効かもしれない。(肝心な部分を全て政令で決めようとする関連法案を見るとそれも疑わしくなってくるが…)問題は、その数があまりにささやかである上に、先に見た@〜Cの目的に限定されたものということだ。この構造は目的が限定された加配方式と変わらない。しかも少子化という客観的な事実のもとでは、その基礎定数は減っていかざるを得ない。この先10年で小出しに基礎定数化を進めていけば漸進的で判り辛いだろうが、気づいてみたら結果人員削減になっていたということになるだろう。Cを見れば基礎定数化が必ずしも定数増になるものでないことは明らかだ。

☆学校現場が求める人員増とは

 学校現場の労働者が求めているのは、単純に人手不足と多忙化の解消である。定数制度を複雑にいじくりまわして客観性を装った人員削減など誰も求めてはいない。学校現場の多忙化はもはや社会的にも周知の事実であって、超過勤務手当の出ない教育労働者にとって、学校はもはや「ブラック企業」化している。

 財務省はそんな現場実態は一切考えずに、子供の数という客観的かつ固定された数値基準だけに固執して教職員数は減ってあたりまえだと言う。文科省は多忙化解消のために「チーム学校」とか「事務の効率化=共同実施」だの「地域との連携」などと机上のプランを振り回した上に、新たな教育課程で現場に負担を押し付け、ますます学校を多忙化に追い込んでいく。

 現場実態を見ずに人員削減しか考えない財務省は論外として、文科省も役にも立たないどころか、むしろ有害でしかない方策をあれこれ考える前に、人員増のために数値基準そのものの見直しを本気で考えたらどうだろうか。目的を限定された基礎定数や加配では現場の負担は増え、少子化に連動して教職員の削減が進むだけであろう。一時少人数学級実現へ向けた動きが一部実現したものの、そのまま立ち消えになっている。今やその議論さえも起こらないが、学校の基本単位である学級基準の改善という基礎定数化が絶対に必要である。

☆さらに不穏な動きが…

 こんな予算案のどさくさに紛れて、所詮加配で50人の「改善」でしかない学校事務職員について「共同学校事務室」や「事務に従事する」から「事務をつかさどる」への役割変更などを内容とする法案が国会に上程された。予算関連の来年度から実施の日切れ法案扱いというが、基礎定数に関係のない部分を無理やり法案にねじ込む必然性は無い。

 これについては学校事務職員制度に重大な改変をもたらすものであり、看過できるものではないが、別に速報記事があるのでそちらの記事に委ねることとする。


政令市移管を目前にして… 各地の状況

政令市費化・名古屋市の状況
名古屋の学校事務職員は、今、迫りくる膨大な仕事量に、やるしかないなと、ため息をつく。

 専門職として財務等の専門性を活かし、学校運営に参画するため、20項目の事務を学校事務職員の主担当とする。職制として係長級事務職員を新設し、係長級による事務説明会も開催していく。

 校内の事務分掌表に、事務職員が主担当であることを明記することを校長先生にはお願いする。

 主担当の意味について、20項目全てを事務職員が行うのではない。学校全体の取りまとめを事務職員、児童保護者との対応を教員が、事務局との対応を事務職員が行うことで学校全体の効率化が図られるものと考える。

 これまでと比べて新たな事務を分掌することになるので、事務職員には勉強をしていただく必要がある。学校の中でも、事務職員が行う事務、教員が行う事務ということを意識し、協力体制を作る必要がある。学校での協力体制を作るにあたっては校長先生のお力添えが必要不可欠で、何卒ご協力くださいますようお願いしたい。

(名古屋市移管を控えた説明会での教職員課管理係長の説明)

 この発言の中で出てくる20項目のうち新たに付け加わる6項目は別掲のとおりだ。

 今まで主に教員が携わっていた仕事のうち、複雑で時間のかかる仕事とされる6項目をまとめて、専門職の名の元に事務職員の仕事に振り替えられることになる。

 

 教職員給与費の政令市移管について、文科省は「今回の制度改正が直ちに教職員の職務内容に変更を及ぼすものではないこと、学校現場に混乱が生じないよう十分な配慮が必要であること」と2016年7月24日に通知していた。しかし、この通知の趣旨は一顧だにされることはなく、名古屋市教委は、人事委員会に対し専門職として職を残す理由を示すとして20項目の仕事の主担当と決めたのである。

 その後、主担当の具体的な仕事分担を教員校長らとともに検討してきたが、その上での説明が上記、教職員課係長の給与負担等に係る移譲に伴う事務職員と管理職を集めて行われた事務説明会での発言だ。

 

 名古屋市には事務室がない。半ば教員の休憩室となっている職員室でいまでも喧噪のなか仕事をしている。

「主担当」とされる20項目のうち、新たに付け加わる6項目がこれだ

(詳細は全学労連ニュース386号に掲載)

◇6項目:学校事務職員が「専門性を発揮しながら学校における金銭を管理し、学校運営に携わっていくことができる」ようにするため・・・学校事務職員の主担当とする。



政令市費化・川崎市の状況 

 賃金面では、学校事務職員の給料表は行政職(1)給料表が適用され、1級から5級(課長補佐級)までの中に位置づけられることとなった。県給料表上の級及び給料額を基に、移管による地域手当引上げを踏まえ本給を引下げた上で、同額ないし直近上位方式により切替えが行われる。本給+地域手当について言えば、移管にあたっては不利益の生じない形での賃金が設定された。

 しかし、住居手当や扶養手当は全て市の制度に合わせられることとなり、特に住居手当は最大12,000円の引下げ(経過措置1年あり)。子の扶養手当も減額となり、条件によっては年収減となる職員も出る。本給が引下げられた結果は退職手当に影響し、これについても経過措置は設けられたものの納得のいくものではない。労働条件切り下げとなる職員が少なからず出る以上、がくろう神奈川としてはそれを容認することはできないとして、労使合意には至らず。しかし、川教組の合意をもとに強行されることとなった。

 休暇関係でも大きな課題が残った。特に、子の看護休暇が市に合わせられる結果、中学3年までのところ小学3年まで大幅に引下げられ、育児休暇でも時間が短縮。また、時間単位の年次有給休暇についても年5日分までと新たな制限が設けられる。これらの条件悪化は、特に子育て世代への影響が甚大だ。改善に向けて移管後も引き続き取り組んでいく。

 一方、臨時的任用職員については県のものを基にした制度を新設。賃金面では地域手当引上げや年齢別最低保障額の適用により、不充分ながら若干の改善となる。また、休暇制度の面でも正規職員との格差が基本的に解消され、特に県では10日(有給は3日)だった療養(病気)休暇が正規同様90日となったのは、安心して働く上で大きな改善だ。しかしながら、退職手当受給に必要な任用期間は延長され、年度途中からの(あるいは、までの)任用では多くの場合受給できない点は突破困難な状況だ。

 移管にあたって川崎市教委は学校事務職について、「当面存続」としつつ、将来改めて職種の在り方の協議・調整を行うとしている。職は残るものの職のあり方の行く末は予断を許さない。

 そして本稿の締切前日、市教委より職務標準の改正と学校事務の「相互支援事業」に関する提案(当局は「情報提供」と位置付け)が突如示された。市教委の説明では、学校教育法の「事務に従事する」から「事務をつかさどる」への改正案も契機としてのものだという。

 まだ具体的なやり取りをしていないため詳報はできないが、職務標準改正案では「教育活動支援に資すること」が新たに加えられ、相互支援事業も共同実施に向けた第一歩と見なしうるもの。そして、このかんの国の動きと軌を一にしたものと取るのが現段階では素直な見方だろう。先々の展開も含め、強く懸念されるものだ。

 労働条件はおおむねで出揃ったが、政令市費化を機とする学校事務職員のあり方をめぐる攻防は、むしろこれからのようだ。


政令市移管・横浜市 事務長(係長)を選考!

 大幅な賃銀の切り下げ(3級止り)、休暇等勤務条件の劣悪化の上に、教育委員会事務局との人事交流(任用一本化の先行)、新採用研修の見直し(研修強化)、職務内容の見直し(勿論労働強化の方向)、そして事務長(担当係長=4級職)の設置、全市での「共同実施」と、横浜市での教職員給与費政令市移管は、事務職員の働く環境を大きく変えようとしています。

 昨年末事務長(係長)の募集が開始され、既に合格者も決まったはず。が、何故か募集人員(義務制16人、特別支援学校8人といわれる)は明らかにされないまま、合格者も「所属長に通知」という事で明らかにされていません。職務内容は、義務制の場合自校事務処理の外に、自校事務職員の管理・育成、自校以外30校程の事務職員の育成・指導助言、そして共同実施が挙げられています。特別支援学校の場合、現在副校長の担う学校事務処理の外、自校事務職員の管理監督・人材育成とされます。また人事考課にも関与するとされています。いよいよ本格的な管理職事務職員の登場です。

 「共同実施」については、現在まで全く内容が示されていないので、当面は4月事務長制導入の為の形ばかりの「共同実施」という事になると思われます。

 事務長募集の申出書に拠れば、「学校事務職員として成果があったと思う実績と、その実績が『事務長として横浜の教育に貢献できる』と思う事項を記入」することになっています。学校事務職員として仕事を頑張ること、子どもたちの成長に寄与することはいいことです。しかしその事を雇用者に向かって、しかも自己の昇進の為に自らアピールすることとの間には千里の開きがあります。他の事務職員を思いやることなく、自己アピ−ルの得意な輩が事務長として跋扈するなんてとんでもありません。事務長=係長の導入、全市共同実施に反対の声を上げ続けます。



政令市移管、相模原市の状況

〈再任用も非正規も大幅賃金ダウン>

 市は再任用について、年金不支給時までフルタイムでその後は短時間任用しか制度化されていない。県費負担教職員について、県の制度は5年間の選択制だが相模原市教委はフルタイムのみの運用をしてきた。選択できないのは不当だが、現実問題としてハーフでの組み合わせができなければ非常勤を探すしかなく現状では困難を極めていた。移管後の市の制度では学校事務以外の職場への異動の可能性もありえる。組合は「学校事務職員」再任用として最後まで働ける環境を要求、最終的には市職一般としての制度ではなく教員と同様、学校事務として5年間フルタイムでの制度になった。ただ、給与格付は県の5級から、市の行(一)再任用と同様の3級格付で、約3万5千円ほどのダウンだ。

 学校事務の臨時的任用職員制度について、市には同様の職がなく存続が危ぶまれたが、給料表を「学校事務」として残した根拠でもって追及、「常勤代替職員」として、こちらも教員同様現行臨任制度を維持させることができた。再任用・臨任とも学校職場として教員同様の制度を残すことができたことは大きな一歩であるが、非正規職の賃金については県の水準を維持できないのは必至で許しがたい。

<副校長は事務職員の上司?>

 4月から教頭の副校長への名称変更と出勤簿・旅行命令・休暇等申請など校長権限の一部が委譲される。権限付与を伴う副校長職と事務職員の関係については警戒が必要だと思う。相模原市は、移管と同時に校長に対しても出勤簿の押印を求め、出張や休暇承認ついて市教委教職員課長が教育長の委任を受けて行うなど、校長に対して管理を強める。教職員全体の人事管理についても一層強まることが予想される。これ以上の息苦しさはまっぴらごめんだ。組合は当たり前の働き方を求めて細かなことについても一つ一つ交渉、歯止めをかけていくよ。ファイト!


東京の共同実施最新状況  更なる拡大を許さない!

2017年度は新たな共同実施地区は小金井市1市のみ!

2018年度に国分寺市・立川市・青梅市・国立市が検討

 2012年度から江東区・武蔵村山市で始まった東京の共同実施は5年目を迎えて2016年度現在、清瀬市・東村山市の2市を加えて1区・3市となっている。

 2017年度から新たに共同実施に入るのは小金井市の1市のみとなった。小金井市の名前は急浮上した。昨年7月教育委員会で共同実施について事務局から報告が行われ、8月には2017年度4校での試行開始が明らかになった。事務職員の中に強い反対論がなく、作業PTに参加して問題点の洗い出しや職務の切り分けを検討している。このケースも多摩地区に多い都教委からの「上意下達」で短期間のうちに導入決定がなされている。

既導入地区はうまくいっているのだろうか?

 既に共同実施を導入している地区はどうなっているのだろうか。江東区の最近の状況はなかなか入ってこない。江東区は中学校のみ実施だが、2017年度は小中一貫の有明中を除く22校全校で実施となる(拠点校3校展開)。学校現場には都費支援員と区費専門員の2名非常勤体制があるため比較的安定していると推定される。拠点校に配置された都費職員も武蔵村山市型(7校都費4名配置)のような削減に合っていない(今年度16校都費13名配置)が来年度の都費の削減がどうなるのか注目したい。いずれにせよ小学校は区費専門員がほとんど配置されておらず、非常勤2名体制が取れないため、導入のメドが立っていない。

 武蔵村山市は担当課長が外部においても「共同実施にはメリットしかない」とうそぶくが導入当初から事務職員にも「箝口令」が敷かれていて実際の姿が伝わらないのがもどかしい。清瀬市は私費会計を誰が担うのか混乱を来している。学校現場の都費支援員に大金を扱わせたくない校長会はこの形態を問題視している。よって今年度2年目なのに4校と導入当初から拡大できていない。東村山市も共同事務室は倉庫の転用でかなり労働環境が劣悪で問題となっている。校長会も実施校の拡大には不安を表明している。

 私たちは導入地区の学校事務の実態をつぶさに見ることによって、その問題性をより具体的・現実的に暴いていくことを行っていきたい。

やはり拡大は多摩地区中心

 来年度は小金井市のみだが、再来年度2018年度はいまのところ、国分寺市・立川市・青梅市・国立市などが導入検討を行っている。国分寺市は共同実施開始時の5年前には東学と都校職組の執行委員長のいた地区であり、私の事務ユニオンの執行委員も健在であったが、そうした人たちがいなくなると手のひらを返したように導入検討が開始された。小学校と中学校が別々のブロックで共同実施を行う方法が検討されているらしい。青梅市は事務職員の中にも反対論があり、導入の是非も含めて検討している。

 導入を決定するのは地教委だが、やはり事務職員の中に声を大にして反対する人がいればなかなか導入を決定できない。7者協議会では少しでも組合員が存在すれば導入反対の動きを拡大するよう取り組みを強めていく方向である。

東京型共同実施の法制の問題点を明らかにし、東京型共同実施の拡散を阻止しよう!

 学校教育法、地教行法の改悪を狙う法案が通常国会に提出された。「共同学校事務室」とは従来型の共同実施とは異なり、明確に外部に共同事務室を設置する東京型共同実施を念頭に置くものである。法案は教員の障害に応じた通級指導や日本語能力に課題のある生徒指導のための基礎定数化などの予算案件で、いわゆる「日切れ法案」となっており、成立阻止はかなり厳しいが、事務職員制度崩壊を意味する東京型共同実施にNO!の声を国会に届けよう!

 いま、東京の共同実施を拡大させない取り組みの全国に与える影響は限りなく大きい。。

 私たち、東京の事務職員は決して諦めない。東京から共同実施をなくし、全国の事務職員の仲間と祝杯をあげる日の訪れるまで。


後記▼昨年6月の「学校現場における業務の適正化に向けて」で「事務の共同実施組織を法律上明確化」が触れられていたので、何らかの形で出てくるだろうと警戒はしていたが、予算に絡む「日切れ法案」として出てくるとは思わなかった。▼昨夏以降、文科省に問い合わせた進捗状況では、のらりくらりの「検討中」だけだったが、ここにきての急転直下だ。▼全学労連はこの状況を受けて、文科省に「緊急要請書」を出した(次頁)。法案の字面を見る限り、月に数回の「なんちゃって」ではなく、東京型の拠点校に集中させる「共同学校事務室」だ。政令市移管と相俟って自由に合理化ができることになってしまう。▼年度末を控え、この業界にとって最も多忙な時期になろうとしているが、全学労連は考え得る限りの取り組みを準備している。



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