2017年3月18日

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全学労連ニュース今号の内容

 全学労連 2.24 文部科学省へ緊急要請  -「東京型共同実施」を一般化する法整備に反対する-

 共同実施法案の国会成立を許さない!日切れ法案からは切り離せ!  全学労連は3月7日に衆参文教委員に要請行動を行う!  −東京型共同実施の後押しをしないことを確認するために―

 人事評価賃金反映:県教委交渉速報!  福事労ニュース982 全県版 2017年2月1日 より

 人事評価制度交渉報告:先行き不安  沖学労ニュース[JimJim]348号(2017/01/24)より

 東京のチーム学校検討委の最終報告を  東京型共同実施追及の武器に!

 国会付帯決議として「1校1人以上の事務職員の配置の確保」が入る方向に!これは東京型共同実施を否定する大きな成果だ!(後記)

全学労連 2.24 文部科学省へ緊急要請

-「東京型共同実施」を一般化する法整備に反対する-

 文科省が「義務教育諸学校等の体制の充実及び運営の改善を図るための公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案」を今国会に提出したことを受け、全学労連は文科省担当者と2月24日に折衝を行った。要請内容は前号(392号)のとおり。

 文科省側はこの法案をつくった実働チームのメンバーが対応した。

詳細は何も決まっておらず・・・

 まず今回の法案提出に関して文科省側は、「次年度予算確定に伴う、必要な法整備を行なうもの。既存の条文では“共同学校事務室”の部分が読みきれないため、それを補完するための法整備だ」と語った。

 学校教育法の事務職員の職務規定を「事務に従事する」から「つかさどる」に替えることについては「校長・教員の言い回し『教育をつかさどる』に準じた。結果、学校職員の一員として、事務職員が主体的に能動的に事務が行なえるようになればよいと考えている。職務規定整備の具体的内容はなにも考えていない。『つかさどる』とすることで職務規定や職務範囲が拡がり、結果、各地で事務職員の活躍の場が増えればよいと考えている。」という。  また、詳細が記されていると思われる政令案については「現在、内閣法制局と協議中のため資料提示できない。およそは政令案概要と変わりないと考えてもらってよい。パブリックコメントを踏まえて作成する」と語った。

「共同学校事務室」とは・・・

 この法案で唐突に示された「共同学校事務室」については「『共同学校事務室を設置できる』としているので『共同学校事務室』は義務づけではない。しかし『共同学校事務室を設置したならば『室長』は必ず置くことになる。」と言う。さらに「室長」については「この法案で言う『共同学校事務室』では、拠点校の学校事務職員に室長になってもらう。『共同学校事務室室長』の下には室員がいるイメージであるが、管理職ではない。当該学校校長の指揮のもと、各自治体で決められた当該拠点校で行なうべき、共同処理する仕事を行なう。通信手段を用いたり、拠点校のみが連携校すべての『共同で行なうことが効果的と決められた事務』を行なうのもあり。『特別の場合、事務職員以外の者を充てる』は拠点校が経験年数の浅い事務職員だった場合を想定している。その場合当該拠点校の校長に室長になってもらう想定だ。」という。

「東京型共同実施」を助長するもの

 我々全学労連が危惧しているのは、人員削減型の「東京型共同実施」である。この「共同学校事務室」は東京型を助長するものに他ならない点を指摘すると、「センター化をイメージしていない。あくまで学校に勤務している事務職員が複数集まって共同で事務処理をするもの。東京型の常時共同事務室に集まって仕事をするイメージではない。複数が集まれば、現在行なっている共同実施の方式でかまわない。月何日、週何日と学校に配置されている事務職員が集まることを想定していて、常時共同で行なうわけではない。」とあくまで、「学校にいる学校事務職員」が集まることを強調する。

 では、「東京型は駄目なやり方だ」と歯止めをかけなければ加速する可能性があると指摘すると、「しかし東京型が直ちに違法とはいいきれない」と居直った。この4月からの給与費移譲では、政令市での学校事務職員採用の任用一本化は何とか防げたものの、この先はわからない。この「共同学校事務室」を取り入れるのはあくまで自治体、各県、各政令指定都市なのだ。ここに合理化削減が行なわれない保障はどこにもない。

 

 日切れ法案で、「チーム学校実現」としてほかの改訂と一緒に出されたこの関連法案。通級指導や外国人児童生徒教育充実のための加配定数の基礎定数化が予算がらみの「日切れ」であり、学校事務職員部分はあくまで「加配」だ。その加配も文科省は「従前の『共同実施加配』と『共同学校事務室加配』に線は引かない。同等に扱い『共同学校事務室』を設置したからといって必ず加配するものでもない」という。何を急いで法整備する必要があるのだろう。

 私たち全学労連は、この義務標準法改訂法案の学校事務職員に関する改訂に反対する立場から法案否決を求めていきます。また、改訂法律案中の「共同学校事務室」及び学校事務職員に関する改訂部分の全削除を求めて闘っていく。



共同実施法案の国会成立を許さない!日切れ法案からは切り離せ!

全学労連は3月7日に衆参文教委員に要請行動を行う!

  −東京型共同実施の後押しをしないことを確認するために―

 全学労連は2月に国会上程された「共同実施法案」に対する国会への取り組みを開始した。これまでも自治体によって共同実施の在り方は千差万別であったが、今回法律に「共同学校事務室」を明記することは共同実施の推進の速度を加速させる絶大なる効果を持つものだと捉えられる。さらに文科省の担当者は私たちとの折衝においては「東京型の共同実施をイメージしていない」と語ったが、法文は東京型共同実施の在り方を決して排除していない。東京型の共同実施を全国に拡散させないためにも国会でこの法案をすんなり通すわけにはいかない。少なくとも法案の「共同学校事務室」は東京型共同実施を指向するものではないという言質を国会質疑において取るか、付帯決議を設けるか、何らかの担保を取るために3月7日午後に衆参文教委員に対する議員要請を実施した。

◎共産党衆議院 畑野君枝さん&大平喜信さん

 全学労連は、今回の法案が障害に応じた通級指導、日本語指導、初任研などのための教員の基礎定数化が中心である「日切れ法案」扱いとなっているのに、全く問題性の異なる学校事務職員の在り方を変えてしまう「共同実施」を入れ込んでいることに大きな問題があることを指摘した。

 今国会の情勢について議員秘書から説明がなされた。文科省の天下り問題、森友学園問題などで文教委員会は空転していたが、3月に入って法案審議が開始される模様。「給付型奨学金」とこの法案がかかっているが、どうやらこの法案から審議入りしそうだ。3月8日趣旨説明、10日文教委員会審議⇒採決、そして翌週本会議採決で参議院へ、というスケジュールだろう。衆参文教委員会の審議はやってもそれぞれ1日で採決だろう。

 秘書の方々が、本来は1校1名という定数を増やして複数化していくべきではないのか、という基本的な認識を持っていてくれていることには心強いものを感じた。ただし、定数を増やしていくにはどういう仕事を担っているのかが問われるだろうとの意見。共同実施が法律に書かれれば確実に共同実施に誘導されていくだろう。私たちの共同実施に対する評価を逆に聞かれた。私たちは全国的に展開される共同実施も東京型に流れ込んでいく危険性を指摘した。その点についての質問を要請するとともに付帯決議に盛り込むことも併せて要請した。

◎社民党衆議院 吉川はじめさん

 教員加配定数の基礎定数化が入っているので。法案そのものに対する反対は難しい。「1校1名配置を崩さない」というラインを確認させたい。まず欠員を解消し、定数を充足することが先決だろう。合理化は本末転倒だろう。東京型の共同実施に対して歯止めをかけていきたいが、「地方教育行政に口を出すな」と言って逃げられそうだ。民進党にも付帯決議について声をかけていきたい。

◎衆参 文教委員に対する要請行動

 野党を中心として文教委員の事務所へ要請書をもって回った。

 特筆すべきは、参議院文教委員は8名回ったが、なんと3名アポなしで議員本人が要請を受けてくれたことである。木戸口英司さん(希望)、高木かおりさん(維新)、吉良よし子さん(共産)の3人。いずれも会派では1人しかいないため、質疑に必ず立たなければならないので知識を仕入れたかったのだろう。特に学校事務職員の共同実施に対する知識もない方が多いので様々な観点から質問を受けた。

 それにしても日本の法律は内閣提案がほとんどであるため、官僚でない議員本人は法案に精通していない場合がかなり多い。議員がきちんと勉強していないと官僚支配には太刀打ちできないと再認識させられた。

 議員本人へのレクチャーもできたので今回の国会議員要請には大いに意味があったと言えるだろう。法案審議の行方にも関心を持って注視していきたい。



人事評価賃金反映:県教委交渉速報!

福事労ニュース982 全県版 2017年2月1日 より

公務貢献…今後も協議   勤続年数による昇給の年齢条件

 福事労をはじめ県教組、県立高教組、県高教組の4単組は、昨日、人事評価結果の賃金反映方法について県教委との交渉を合同で行った。

 この交渉は、1月26日(木)に県教委より再提示のあった「人事評価結果の給与への反映方法について(案)」を基に行われた。

 福事労が交渉で争点としたのは、@公務貢献での昇給が、現行の特別昇給に見合っていないこと。A昇給制度に公務貢献として設けられた勤続年数による昇給に年齢条件があることである。高校卒程度採用の学校事務職員の場合は、勤続年数による条件を満たしても年齢条件があるため数年待たされることになる。

 これらのことは、「課題」として捉え、公務貢献についても給与制度のひとつとして、今後も継続して交渉などで協議することになった。

A・Bフラット化   昇給反映で相対化なし

 昇給については、昇給区分が、一般職員で8号給昇給(55歳超の職員は、2号給)となる「T(最上位)」は、総合評価の結果が「S」かつ5%以内とされた。

 6号給昇給(55歳超の職員は、1号給)となる「U(上位)」は、@「S」評価で「T(最上位)」以外の職員、A総合評価の結果が、「A」又は「B」の職員のうち公務貢献に該当する職員。従って、公務貢献に該当すれば、総合評価が「A」、「B」に関わらず6号給(55歳超の職員は、1号給)の昇給となる。

 「V(標準)」は、評価が「A」又は「B」で公務貢献に該当しない職員。昇給は、4号給(55歳超の職員は、昇給なし)。

 「W(下位)」は、総合評価が「C」の職員。昇給は、2号給(55歳超の職員は、昇給なし)。

 「X(最下位)」は、総合評価が「D」の職員。昇給はない。

 なお、人事評価以外による昇給区分として、戒告又は軽微な減給を受けた職員及び要勤務日数の6分の1以上2分の1未満の日数を勤務していない職員は、「W(下位)」に、「W(下位)」に該当しない減給又は停職を受けた職員及び要勤務日数の2分の1以上の日数を勤務していない職員は、「X(最下位)」となる。

人事評価結果による昇給号給数と職員割合
昇給区分T
最上位
U
上位
V
標準
W
下位
X
最下位
昇給
号給数
一般
職員
86420
55歳超
職員
21000
職員割合5%
以内
20%
以内

 昇給では、公務貢献に該当すれば、評価結果が「A」でも「B」でも、6号給昇給となり、公務貢献に該当しなければ、4号給の昇給となる。極めてフラットな制度に落ち着いた。

 また、「S」評価でも5%を超えてしまえば、昇給区分は、「U(上位)」となるが、昨年の試行では、「S」評価の職員は、若干名に過ぎず実態としては、「S」=「T(最上位)」となる。

 さらに、「U(上位)」の職員割合は、20%以内とされているが、「A」、「B」評価での公務貢献該当者が、20%を上回ることは、考えにくいとのこと。

 実態として昇給での相対化は行われないことになる。

 公務貢献 

 特別昇給制度に替わり、評価結果以外の区分決定の要素なるものである。

 学校事務職員の場合は、@副主査、主査及び主任主査発令直後、A永年勤続表彰受賞かつ満53歳に達する年度、B勤続20年以上かつ43歳に達する年度、C勤続10年以上かつ満33歳に達する年度となる。

 勤続20年は現行制度で人事評価導入までを期限としていたもので、それが復活したことになる。これに加え、新たに勤続10年が新設されたが、「B評価(良好)」を標準?とすれば、現行の特別昇給には、まだ見合っていないことになる。

 次の表は、標準号給に対して加算される号給数を示している。特別昇給という概念はなくなるが、比較する便宜上、標準との差を示している。

標準号給に対して加算される号給数
現行制度公務貢献備考
副主査相当職4号給2号給
勤続10年-2号給33歳
主査相当職4号給2号給
勤続20年2号給合計43歳
永年勤続(30年)4号給2号給53歳
主任主査相当職2号給2号給
合計12号給10号給

B評価…85/100   勤勉手当支給割合現行基準に回復

 勤勉手当の支給割合は、「良好」な職員の場合、給与改定前の条件で、77/100が80/100とされたので、現行制度で基準となる支給割合に戻ったことになる。(今年度の人事委員会の勧告に沿って給与改定が行われたので、現在は、85/100となっている)。

 ただし、現行制度は、扶養手当相当分と勤務成績による支給割合での減額分を「みんなで山分け」にしているが、新しい制度では、成績優秀者(「S」及び「A」)にのみ配分されることになるので、「B」評価の場合は、「みんなで山分け」分が下がることになる。

 下の表は、過去5年間の基準を超えて支給された割合(/100)である。

過去5年間の基準を超えて支給された割合
 6月期12月期基準
2017年度3.14841.626480.0
2016年度2.92441.571875.0
2015年度2.71321.383667.5
2014年度2.66261.578067.5
2013年度2.31291.589237.5
平均2.75231.5498

 このデータを見ると6月期で2.75/100程度。12月期で1.55/100程度となる。

 県教委の示した資料によると昨年度の人事評価の試行での総合評価が「S」及び「A」の職員は、小・中学校の場合、およそ25%。

 これらを基に考えると「S」及び「A」評価を受けた場合の勤勉手当の支給割合は、6月期で95/100(勤勉手当の支給割合の上限の95/100を超えることはない)。12月期で91.20/100程度となるものと予想できる。

 勤勉手当の支給割合は、総合評価の「S」と「A」が統合され、95/100以内。「B」が、85/100。「C」、「D」が、75/100となる。懲戒処分を受けた場合は、停職:39/100。減給:49.5/100。戒告:60/100。


人事評価による昇給号数と勤勉手当支給割合
総合評価昇給勤勉手当
S8号給
(5%超えは6号給)
95/100以内
A公務貢献
該当
6号給
公務貢献
非該当
4号給
B85/100
C2号給75/100
D昇給なし

※ 「A」、「B」での違いは、勤勉手当のみとなる。

解説します…人事評価賃金反映   福島県学校事務交流集会開催

 今回の人事評価結果の賃金への反映方法については、2月18日(土)に開催する「福島県学校事務交流集会」で詳しく解説する。

 福島県学校事務交流集会の概要は以下のとおり。なお、「人事評価の賃金反映方法について」は、14:00〜16:00の時間帯で行う予定だ。

日時:2月18日(土)10:00〜16:00
会場:郡山市青少年会館
郡山市大槻町字漆棒82:TEL.024-961-8282
内容:@共同連携実施 本音と建前のはざまで
A休暇制度まる分かり
B人事評価の今!

 福島県学校事務交流集会は、福事労組合員に限らず参加できる。組合員以外の方の参加も大歓迎である。学校事務に対する視野が広がることは請け合いである。多くの方の参加を期待している。



人事評価制度交渉報告:先行き不安

沖学労ニュース[JimJim]348号(2017/01/24)より転載

 12月28日、沖学労は県教育委員会と人事評価制度に関する団体交渉を行った。

 当局の主な提案は、以下の3つ。

@ 資質能力評価の評価結果を昇給号給数に反映させる号給の幅を縮める(表A)。

A 資質能力評価の人員分布率の区分、割合を変える(表B)。

B 役割達成評価結果の勤勉手当に反映させる率の変更(表C)。

昇給区分及び昇給号給数【表A】
昇給区分A(SS)B(S)C(A)D(B)E(C)
昇給号給数7号給以上5号給4号給2号給0号給
(昇給なし)
 55歳を超える
職員の場合
2号給1号給0号給
(昇給なし)
0号給
(昇給なし)
0号給
(昇給なし)
※ 昇給区分の(  )は総合評価の評語を表している。
 
人員分布率【表B】
昇給区分A(SS)B(S)
校長、副校長、教頭、
事務長(課長級、班長級)
※管理職層
10%以内30%以内
教諭12年以上
※中間層(本庁班長、主査級)
5%以内30%以内
教諭11年まで
※初任層(副主査以下)
5%以内30%以内
※ 昇給区分の(  )は総合評価の評語を表している。

 @については、当初SS評価8号給昇給、S評価で6号給でA評価の4号給とそれぞれ4号給、2号給の差がつくことに、沖学労をはじめとする職員団体は、格差の緩和を求めていた。その譲歩として、SSで7号給、Sで5号給と各1号給差が縮められた。

 Aについては、中間層と初任層のS評価の割合が、それぞれ20%→30%、15%→30%と改善された。これは、@で格差が縮まったことにより原資が浮いた分でS評価分布率を拡大したものだ。

 しかし、当局の当初の提案では教頭は中間層に位置づけられていたもの他の職員団体からの要求で管理職層移したとの説明を当局はしている。

 労働組合のあり方としてあり得ない要求をする職員団体があることにも驚くが、それをすんなりと受け入れる当局の“柔軟さ”にも驚くばかりだ。

 Bについては、各層の成績率が変されている。これは、今年度の給与改定により、期末手当が各期0.05月分改善された影響だ。原資の増加により各層での成績率が改善されている。

 SSとS評価の成績率には幅があるが、当局は4月に行う評価結果の勤勉手当への反映は、下限の率で行うと言った。SSで1.04、Sで0.925となる。

 年間でどれだけ給与に差がつくのか計算してみた。現在2−33号給の者がA評価を受けて4号給昇給した場合、年間4,018,690円、Sで4,086,180円、SS評価で4,191,684円となり、AとSの差額は67,490円、AとSSの差額は172,994円となる。

 現在4−60号給の場合、AとSの差額は70,779円、AとSSの差額は178,334円となる。

 上の計算は、SSで5%、Sで25%の人員分布率で成績率の下限で計算している。SSとSの分布率が低い(人数が足りない)場合、成績率を上げると当局は言っているので、差はさらに拡大することになる。成績率の上限のSS1.600、S1.040で計算すると、SSの勤勉手当はAの2倍弱に跳ね上がり、年間収入では2−33号給で454,450円、4−60号給で589,934円の差となる。

**公平で公正な評価がなされるのか?**

 昨年度の試行で行われた人事評価結果の分布率を当局から聞いた(次の表D)。

 驚くべき結果だ。資質能力評価で当局想定の1/5の7%、役割達成評価では1/3の分布率しかない。もし今年度の評価結果分布率が昨年並みとするのなら、A以下の被評価者から取り上げた勤勉手当、年0.03月分は、SSとSの成績率を最大でとったとしても配分しきれずに無駄に捨ててしまうことになる。

 また、これまですべての職員が一定年齢になれば昇給したり、へき地離島に勤務した際に昇給した制度を無しにして、人事評価制度の原資に組み直した(年に15%の職員が昇給できる原資)お金が職員に割り当てられることなく無駄に捨てられてしまうことになる。

 これを当局に問うと「評価者である校長に制度の主旨を理解してもらえるよう説明する」としか返答しなかった。

 当局が校長へ説明する機会は、あと一度あるだろうか?評価結果を出す直前になって、すべての校長たちは、昨年出した評価結果の5倍、3倍多い人数にSSやSの評価を出すよう考えを改めることができるだろうか?

 当局の意図を理解する校長がいて、意図をくみ取れなかった校長がいて「昨年並みの評価で良いだろう」と出した両者の評価結果には大きな差(ある学校ではSSとSで20人、別の同規模の学校では3人だけとか)が生じるだろう。

 学校によって、SSとSの評価結果を受ける職員数が3倍や5倍の差が開くほど、職員の資質や能力に偏りがあるわけがないが、このままでは県内各地の学校毎で評価結果に著しい偏りが出ることだろう。

 「人事評価は絶対評価だ」と当局は繰り返し言っている。その建前上、校長たちが厳しい評価を出してしまったなら、それを覆すことはできない。職員個々人は、他の職員の評価結果を知ることはできないし、ましてや他校の結果を知ることはできない。自分の受けた評価が正当なものかを知る術のないまま、苦情処理の期限が過ぎてしまうことになる。

 人事評価制度がその目的を達成する条件として、公平性、透明性、納得性が不可欠だ。評価基準が評価者毎にバラバラであっては、公平性は保たれない。職員が不公平と感じる人事評価制度は、職員の働く意欲を減退させ、本来、職務へ注力すべき力を良い評価を手に入れる“裏技”探しに費やさせることになる。

 ホント、バカみたいな制度だがあきれてばかりはいられない。今年もしつこく行くぞ (濱)



東京のチーム学校検討委の最終報告を 東京型共同実施追及の武器に! 1.東京の校務改善路線  東京は2011年から校務改善を開始し、各学校に校務分掌として「経営支援部」を設置させることによって副校長の仕事を効率的に主幹教諭や事務職員に割り振る方策を打ち出した。それは全国に先駆けた独自性を放っていた。  全都小中学校は約1900校であるが、経営支援部設置数を以下に見てみよう。 2012:232校  2013:325校  2014:434校  2015:542校  2016:587校  導入当初に私たちが行ったアンケートによると、構成員である事務職員が経営支援部の存在すら知らない学校が多数あったことに象徴されるように、いわゆる設置申請だけして実態のない「名ばかり経営支援部」の割合は大きかった。その裏には経営支援部設置校には3時間の講師時数というご褒美があった。中身がどうであれ都教委は経営支援部の設置数の増加のみを追求していった。  2012年の東京型共同実施が登場してから、ますます校務改善路線は混迷を深めていった。経営支援部において都費事務職員は中心的存在であったのに、その事務職員を引き上げて共同事務室に配置するのであるから経営支援部は主幹教諭や主任教諭が中心にならざるを得ない。そういう意味で言えば、校務改善と共同実施は相矛盾する政策であることを私たちは丹念に追及した。  都教委の「言い訳」はますます醜いものになっていく。共同実施によって共通事務は共同事務室に移行するのだから、「現場にいる非常勤支援員はゆとりができて副校長事務を補佐できる」と。だから「共同実施は校務改善に資する」と。こんな漫画のような論理がいかに現場からかけ離れたものなのかは一目瞭然だったが、多摩地区の地教委をオルグする論理として利用されていく。 2.突如出てきた「チーム学校」路線  2016年6月、都教委は突如「東京都におけるチーム学校としての学校の在り方検討委員会」を立ち上げたことをプレス発表した。校務改善という独自路線を歩んできた都教委からすれば青天の霹靂ともいえよう。はっきり言って私たちも虚を突かれた感があった。国のチーム学校の旗振り役であった小川正人を呼んで今さら何をやろうとするのか。しかも検討期間は短くほぼ半年。最終報告は2月23日に教育委員会に報告された。  東京がチーム学校路線を採用する論理は二通り考えられる。一つは、これまでの校務改善路線に対する修正の必要性。そしてもう一つは東京の校務改善も共同実施も基本的には国の「チーム学校」路線の枠内にあるということのアピール。  前者であれば、校務改善路線の総括が必要であり、路線転換を明確にすべきだ。結局校務改善路線をずるっと修正してあたかも従前から「チーム学校」を採ってきたと錯覚させる巧妙な手法なのではないだろうか。  行政というのは概ねそうである。自己批判することなく、いつの間にか方針転換していて総括も謝罪もない。それはまさに校務改善⇒共同実施⇒チーム学校という流れをいつの間にか自然なものと感受させる詐術なのだ。 3.巧妙な方針転換を徹底追及する!  私たちはそんな詐術にはだまくらかされない。最後に本論考の肝であるが、見えづらい方針転換を都教委追及の武器とすべきことを提起しておきたい。 @ 経営支援部路線は破綻した!  今回の副校長の多忙化解消策に関する新たな提言は副校長業務を直接支援する人材の配置である。中間報告では「小学校においては経営支援部の設置は難しい状況がある」と経営支援部の負の側面を端的に認める記述があったが、最終報告ではそれはさすがに消えている。私たちは従前から副校長が多忙なのであれば直接支援する人材配置をすることを逆に主張してきた。直接的な支援人材の配置と経営支援部とは両立するかのような体裁を取っているが、これはまさに経営支援部路線の破綻を意味するのではないか。共同実施支援員が副校長支援人材として現実的には機能していないことも含めて都教委を追及していきたい。 A 東京型共同実施の学校現場は 都費非常勤支援員だけでは成立しない  最終報告は東京型共同実施推進について肯定的な評価を与えている。しかし、学校現場に残る業務について「区市町村の事務処理や地域事情に詳しい人を配置することが必要となる」と提言し、さらに「区市町村ごとに会計事務や契約事務などの手続やシステム等が異なることから、個々の課題の把握及び課題の解消に向けて、どのような支援が必要なのか、調査、検討していく必要がある」としている。これは現在の共同実施地区の学校現場の在り方に不十分な点があることを認めたものである。学校現場が都費非常勤支援員1人では立ち行かない現実を直視すれば何らかの方策が必要になるのは当たり前な話だ。私たちはこれまでの共同実施地区が都費非常勤支援員だけでなく、区市町村費非常勤の方がいて2名体制だからまだ破綻せずに何とか学校現場の事務を切り盛りできるという指摘を都教委にしてきたが、都教委は「それは区市町村の問題であって私たちの関与することではない」と無視し続けてきた。この最終報告は私たちの指摘を認めた内容となっている。私たちはこの報告を武器にさらに都教委の共同実施路線を追及していきたい。 (学校事務ユニオン東京)

国会付帯決議として「1校1人以上の事務職員の配置の確保」が入る方向に!これは東京型共同実施を否定する大きな成果だ! 後記▼衆議院文教委員会は3月10日に開催され、野党に質問も一巡して終了したが、その質疑の中で文科大臣は共同実施が学校事務職員の合理化に資するものではないことを明言したようだ。▼さらに文教委員会の採決は3月15日に延期され、野党提出の付帯決議8項目が採択される予定。その中の事務職員項目は第6番目。▼「事務職員の職務に関する規定の見直しや共同学校事務室の制度化の意義について、地方公共団体に対し周知徹底すること。その際、事務職員が一定の責任を持って主体的、積極的に学校運営に参画することにより、学校の機能強化が図られる点について理解を得るよう努めること。また、事務職員が学校運営に関わる職としてその専門性を向上するための研修の企画・実施体制を充実するとともに、一校に一人以上の事務職員の配置を確保すること。」▼学校運営への参画に対する評価は分かれようが、最後の「一校に一人以上の事務職員の配置の確保」が付帯決議に入ったことの意義は大きいだろう。東京型共同実施にNO!を突き付ける内容だ!▼・・・ということで、異動で職場を変わる読者もいるかもしれない。ニュースの送付先に変更のある方は、メールでも、ハガキでも、カンパ用振替用紙の通信欄でも、お知らせください。

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