top>
ニュース>
404号
全学労連ニュース今号の内容
1 共同実施、政令市移管、…と課題あれど、 2018年度も全学労連は闘い続けます =第2回全国代表者会議開催=
2 2018年度 全学労連運動方針大綱
3 全学労連・全学労組 学校労働者全国集会 (第47回全交流)案内
共同実施、政令市移管、…と課題あれど、
2018年度も全学労連は闘い続けます
=第2回全国代表者会議開催=
3月17・18日、全学労連は全国代表者会議を開催し、2017年度の活動の総括と2018年度の運動方針を議論した。
2017年度は共同学校事務室法制化と義務教育費国庫負担金の政令市移管で、学校事務職員制度が大きく揺らいだ年であった。
各地の地域性はあるものの、共同学校事務室法制化は「つかさどる」という事務職員の職務規定と相まって、職階性が強化されつつある。これまでの、上の級といっても実際は同じ仕事をし、いずれみなその級になっていくというある種の平等性とは対極のものだ。これは日教組や全事研といった推進派が言うところの、上位級獲得・地位向上の手段としての共同実施は、総務省の言う上位級には相応の役割が必要、という考え方と合致するものだ。
政令市移管はそれぞれの自治体の考えがストレートに制度に反映する。産休・育休の代替者がフルタイムで置かれず、短時間職員で手当され、結局欠員状態で放置される自治体がいくつか発生している。義務教育費国庫負担法や標準法によって、あまねく全国に一定の教職員を確保するという国の政策は、総額裁量性によって骨抜きにされたとはいえ、一応は守られてきた。しかし、これまでの経緯から「自由」な自治体からそうしたありようは崩されつつあるのだ。この傾向は広がりかねない。
こうした動きの中で、制度の矛盾の矛先が非正規雇用、臨時職員に向けられているが、地公法・地自法改正による会計年度職員制度の新設に現れるようにその職の設置と勤務条件の在り方が大きく変わろうとしている。学校現場の実情を背景にその改善を求めていかなければならない。
・・・という議論を、運動方針大綱(別掲)や文科省への要望書等をめぐって行った。また、今年度も全交流を教員独立組合である全学労組と共催で行うことを決めた。
2018年度 全学労連運動方針大綱
はじめに
平昌オリンピック・パラリンピックにおける日本選手のメダル獲得への期待をあおる報道は、過剰を超えて異常と言うべきものであった。人々は翻る「日の丸」に感動したそうだ。漠然としたナショナリズムを、スポーツへの熱狂を媒介として愛国心・排外主義の熱狂へすり替えて、そのまま2020年の東京での開催まで引っ張って、改憲への追い風に利用する意図が露骨である。
他方で現地の民意を踏みにじって強行されている沖縄での米軍基地建設や、アメリカからの大量の武器購入、「北朝鮮」への軍事的・経済的・政治的圧力などは、アメリカへの追従政策に他ならず、「愛国心」とは矛盾する。朝鮮半島での南北対話の進展により、これまで圧力強化一辺倒で来たアメリカも米朝首脳会談実現へ転換する可能性が出てきた。これによりこの国の対「北朝鮮」政策も見直しが迫られる。しかし良し悪しはともかくそのこと自体が追従政策そのものであることを忘れてはならない。要するに、この国の国際社会での立ち位置が喪失しているのだ。この事は対「北朝鮮」政策だけに留まらない。被爆国でありながら核兵器禁止条約への不参加や、治安法制強化や戦争法制の整備と9条改憲による平和主義の放棄等、この国の価値観が変わり、国際社会のこの国を見る目が変わっていく。
国会では、忖度省庁の文書改ざん問題の新展開から国有地不正売却への首相の関与が追及されている。連日首相官邸前抗議デモが行われ、与党内からも政権批判が公然と語られ始めている。もっとも、与党内からの声は9月の自民党総裁選を意識した牽制であって与党の延命を図るものに過ぎないという留保を付けるべきであるが、とりあえず暴走し続けてきた安倍政権が失速し、政権交代や政策転換につながることは大いに促進すべき事だろう。
政令市への給与費移管がされ共同実施関連法が成立して1年が過ぎた。東京では民間委託を導入した共同実施が提言されるに至った。仕事を減らさず人を増やさない「学校における働き方改革」で学校事務の業務見直しが検討されている。今後学校事務職員制度はさらに大きな改変を迎えることになるだろう。課題は山積しており、これまで地道に課題に対処してきた全学労連であるが、状況に対応して新たな運動スタイルを創り出していくことも必要である。これまでの成果を踏まえた上で、大胆に発想を転換して運動を進めていこう。
1 学校事務職員の制度解体・廃職攻撃に対抗する闘い
《義務教育費国庫負担制度の堅持・改善》
- 国庫負担の負担率1/2の復元を求めます。
- 給与負担法改悪・人事権の移譲に反対します。
- 学校事務職員制度を解体しないよう求めます。
- 総額裁量制の廃止を求めます。
《県費負担教職員制度解体反対》
- 学校事務の一般行政職との任用一本化に反対します。
- 政令市への給与費移譲に伴う、全ての労働条件の改悪に反対します。
- 政令市費化がもたらす問題を訴えていきます。
《基礎定数の改善》
- 定数の加配方式に反対し、基礎定数の改善を求めます。
- 学校事務職員の欠員を生じさせないよう都道府県への指導の徹底を求めます。
- 要準加配の省令改定(25%かつ100名以上→25%または100名以上)を求めます。
- 産育休代替に、正規職員の配置を求めます。
- 定数の弾力化、臨時職員の配置拡大に反対します。
- 複数配置基準の改善を要求します。
- 未配置校の解消を要求します。
- 市町村費職員の削減、民間委託化に反対します。
- 教育の民営化、アウトソーシングに反対します。
《「共同実施」・チーム学校反対》
- 「共同学校事務室」の設置並びに「室長」の配置に反対します。
- 「共同実施」の実態を明らかにし、反対の取り組みを進めます。
- 人員削減を目的にした東京の「共同実施」に反対します。
- 「共同実施」関連法制の整備に反対します。
- 「職務標準」「共同実施」を背景とした労働強化、管理強化、職階制強化に反対します。
- 事務職員の労働強化につながる「学校における働き方改革」・チーム学校に反対します。
- 独立行政法人教職員研修センター主催の事務職員を対象とした研修に反対します。
- 全事研、日教組事務職員部の翼賛化、「共同実施」推進を批判します。
2 賃金・労働条件改善の闘い
- 全国で広がっている給与カットに反対し闘います。
- 「給与制度の総合的見直し」に反対し、給与水準の維持、改善を求めていきます。
- 高齢者賃金の抑制に反対し、高齢者雇用継続給付制度に見合う給付金を要求します。
- 新しい人事評価制度、ならびにそれがもたらす差別賃金に反対します。
- 教員は元より、その周辺にまで無制限な超過勤務を強いる「給特法」の廃止を求めます。
- 「サービス残業」を許さず、労基法遵守を求めます。
- 事務室設置のため「小中学校施設整備指針」に沿った校舎建築を求めていきます。
- 「学校設置基準」に事務室を明記するよう求めます。
3 非正規雇用学校働者の労働条件改善の闘い
- 学校労働者の非正規化に反対します。
- 非正規雇用労働者、再任用職員との連帯を追求し、均等待遇と正規雇用への転換を求めます。
- 非正規雇用労働者の実質的な継続雇用の実態を明かにしていきます。
- 会計年度任用職員制度の導入に伴う、非正規雇用労働者の労働条件切り下げに反対します。
- 諸手当・年休・社会保険の継続扱いの拡大を求めていきます。
- 共済組合への加入を拡大させます。
- 各都道府県教委の総務省通知解釈と運用のばらつきを解消させます。
4 諸課題について
《コンピュータ合理化反対》
- コンピュータ化がもたらす人員削減・労働強化に反対します。
- コンピュータ利用による住民管理、情報管理の強化に反対します。
- 各地の電子自治体構想の進捗状況の把握に努め、情報の共有化を目指します。
《共通番号反対》
- 共通番号制度に反対します。
- 教職員への共通番号記入強制、ならびにそれを学校事務職員にさせることに反対します。
- 学校現場に個人番号の記載された書類が保管されないよう求めます。
- 自治体や学校単位の個人番号カード一括申請に反対します。
- 個人番号カードを職員証や身分証明書として利用しないように求めます。
《教育の国家統制反対》
- 学校での「日の丸・君が代」の強制に反対します。
- 改悪教育基本法、関連3法の学校での実体化に反対します。
- 主幹・指導・主任教諭や副校長制導入等の学校労働者階層化政策に反対します。
- 教育の格差拡大に反対し、教育の無料化法制化を目指します。
- 「道徳」の教科化、「私たちの道徳」配布、全国学力調査に反対します。
- 「オリンピック・パラリンピック教育」に反対します。
- 天皇代替わりに伴う祝意の強制に反対し、元号の廃止を求めます。
《労働法制改悪反対》
- 労働法制の改悪に反対します。
- 政府の進める「働き方改革」の実態を明らかにし、批判していきます。
- 公務員制度改革の動きを注視し、改悪に反対します。
《反戦・反核・反差別の闘い》
- 改憲策動、戦争出来る国家作りに反対します。
- 沖縄を始めとする米軍基地撤去の闘いに参加します。
- 自衛隊基地の再編・配備に反対します。
- 原発の再稼働に反対し、全ての原発の廃炉を目指します。
- 原発事故避難地域への帰還強制政策に反対します。
- 「特定秘密保護法」「共謀罪」等の治安法制強化に反対し、廃止を求めます。
- 差別排外主義や部落差別等に反対し、あらゆる差別の無い共生の社会を目指します。
《省庁・諸団体への取り組み》
- 定期交渉、賃金交渉だけに留まらず、諸課題の解決を目指し文科省交渉を強化します。
- 必要に応じ、財務省、総務省、その他の団体にも交渉・申し入れ行動を追求します。
- 我々と課題を共有できる政党、議員の獲得を目指します。
- 中央行動を全学労組と共に、政府の予算編成作業時期に合わせて取り組みます。
5 支援・連帯・共同闘争について
- 全ての労働者との支援と連帯を強め、総賃金抑制攻撃と闘います。
- 「日の丸・君が代」処分撤回闘争に支援・連帯します。
- 各構成組合・団体から取り組みの支援要請があれば、支援・連帯を行います。
- 他労組、他団体からの支援要請は、事務局で判断のうえ取り組みます。
- 我々と共通する課題での集会、デモ等は、事務局の判断のうえ参加していきます。
- 必要に応じ、地域での労働組合、市民団体との共闘を取組みます。
- 全学労組とともに全国交流集会を企画し、参加・交流を深めます。
- 全学労組との中央行動等、共同闘争の継続的発展を目指します。
6 組織強化・拡大について
《組織強化・拡大》
- 全学労連の組織強化・拡大に努めます。
- 独立組合結成の支援協力を行います。
- 全学労連ニュースの定期発行と、配布網、読者の拡大を図ります。
- 情宣活動の新たな手段として開設したWebを活用します。
- 学習会等の要請に応じて講師派遣を行います。
- 各構成組合・団体・個人との連携強化のため、ネットワークの充実を図ります。
- 個人加入の組合員の拡大に努め、必要な内規の整備を行います。
- 引き続き非正規雇用労働者、退職者の組織化に向けた検討を行います。
《全国学校事務労働者交流集会》
- 第47回全国学校事務労働者交流集会を開催します。
- 今年度も全交流は、一部を全学労組の全国交流集会と共同で行います。
- 共闘組織に全交流への参加要請を行います。
- 今後の全交流の在り方について引き続き検討を行います。
《調査・研究等》
- 賃金労働条件等の各県状況の把握、研究に努めます。また、情報の共有化を目指します。
- 「共同学校事務室」・チーム学校・政令市費化に伴う労働条件の変更を調査・研究します。
- 各県の闘いを支援するため、定数状況、「共同実施」の進捗状況等の情報を提供します。
- 非正規学校労働者の勤務労働条件の調査を行い、文科省や総務省の追及に活用します。
全学労連・全学労組
学校労働者全国集会(第47回全交流)案内
主催:全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)
全国学校労働者組合連絡会(全学労組)
日時:2018年8月4日(土)・5日(日)
会場:時之栖(静岡県御殿場市)
「学校における働き方改革」が中教審で議論されている。昨年末「中間まとめ」が出され、文部科学省もその実現に向け緊急対策を出しているところである。しかし、この中間まとめであがってきていることは「学校が抱える業務量の改善」もさることながら、「専門的なスタッフの活用」として「非正規雇用のスタッフの充実」と「事務職員の活用」も大きなウェイトを占めている。
学校現場にいれば正規教員の定数増や常勤スタッフの充実が一番の「働き方改革」になることは一目瞭然なのだが、財務省は学校職員の定数増を良しとはしない。それよりも最近聞かなくなった「チームとしての学校」や「専門的スタッフや外部人材の配置拡充」などは、「日本型学校教育」を維持しつつ「業務の適正化・組織運営体制の在り方の見直し・勤務時間の在り方、意識改革」などが行なえるのであろうか。
昨年、全学労連は教員も含んだ全国組合「全学労組」と一部共同で夏の交流集会を行なった。「多忙化」の実態は部活動や生徒指導など「わかりやすい」事象はあるものの、それ以上に道徳教育に現れる上から押し付けられた教育課程や職場のいじめ・パワハラが課題であることが生々しく報告された。
今夏も前回同様、全学労組とともに交流集会を行い、事務職員目線と教員目線の「働き方改革」を通し、「非正規雇用教職員」が増えて来ている学校現場で、何を重点に考え、どういった取り組みが必要なのか、何が課題かを考えていきたいと思っている。
また、独自集会では、「共同実施」が、学校から事務職員を引きはがし、非正規職員への置き換えや定員割れをごまかすための手段として利用されていることや外部委託化されようとしている実態。さらに政令市給与費移管後に起こっている、学校事務職員制度崩壊、さらには学校事務の崩壊など現実に目を向けた集会を考えている。
たいへん厳しい状況ではあるが、我々の未来を少しでも明るいものにするために有意義な議論・意見交換を展開していきたいと考えている。
今年の夏、御殿場でみなさんの参加をお待ちしています。
詳細は次号・WEBにて