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07全交流埼玉 案内 |
戦後レジューム(体制)からの脱却を標榜する自民党安倍政権は、グローバルな日米同盟のもと、憲法9条を改悪し、自衛隊の海外派兵を合法化し、戦争ができる国家体制構築に向けての布石を着々と打っている。
昨年12月に改悪された教育基本法には「郷土を愛する心」が盛り込まれた。この「郷土を愛する心」が学校教育法、教員免許法、教育公務員特例法、地方教育行政法の改正の軸とされ、そのための伝動ベルトとしての副校長・指導教諭などの新たな職の導入による重層的な管理体制の強化、そして10年毎の教員免許の更新は、国家に忠実な教員育成とこれに歯向かう者の排除が行われる。そしてこれに従わなければ、地教行法によって国による是正要求が行われ、為政者の意図が最後まで貫徹できる体制が、二重三重に作られている。こうした為政者の政治的意図が、貫徹されていく中で、「公教育」を「郷土を愛する心」を全面的に押し出した「公民教育」へと変貌させようとしている。
そして、そのための手段として「公教育」の持つ「私事性」を、全国学力テスト等を利用しながら煽っている。さらに、学校選択制によって、学校間の序列化を進め、より一層の競争を強いている。そして、グローバル化に対応する「公民」を「国家」によって育成する体制が強化されようとしている。
まさに「できんもんはできんままでいい。」ということだ。
しかし、我々は、これを良しとはしない。
我々は「重層的な管理体制の強化、国家に忠実な教職員の育成、学校間の序列化」に反対する。
我々は「戦争ができる普通の国」に反対する。
かつて、フランス革命の理念であった自由・平等・友愛は、今日、平等・友愛が消え去り、強者が弱者を搾取する自由のみが新自由主義として世界を席巻している。
我々は「強者が弱者を搾取する自由」に反対する。
働いても働いても生活が苦しいワーキングプア問題や経済的困窮に起因する給食費の未払いや就学援助申請者の増大から目をそらす事はできない。教育現場でも増え続ける非正規雇用者問題等々、様々な問題から目をそらすことはできない。
たとえ、問題の困難性に立ち尽くす事になっても、正面を向いたままでいよう。
たとえ、一歩前進二歩後退でも、全国の仲間とともに戦い続けよう。
そして、全国からこの声を出し続けていこう。
「負けてたまるか!」
2007年7月29日
第36回全国学校事務労働者交流集会参加者一同
去る3月30日、文科省の検定によって、2008年度から使用する高校歴史教科書から、沖縄戦における「集団自決」に関する記述の日本軍関与部分が削除されることが公になった。以来、沖縄では沖縄戦の体験者や現場で教育に携わる人々を始め多くの県民から日本政府による沖縄戦の歴史改ざんに対する憤りと疑問の声が拡がり続けている。こうした中、日本軍の命令についての新たな証言や、市町村議会の「教科書検定による筆命削除撤回意見書」も採択され始め、6月22日には県議会、6月末までには41全市町村議会で決議が採択された。その間、マスコミ報道によって、文科省自身が教科書検定調査審議会(以下審議会)に対し、「集団自決」への日本軍関与記述を削除するよう求めていたことや、文科省の日本史担当教科書調査官が、日本の侵略戦争を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」関係者だったことも明らかとなった。
これを踏まえて、7月4日、沖縄県、県議会、市長会、市議会議長会、町村会、町村議会議長会の6団体代表が検定削除の撤回を求めて政府・文科省に赴いたが、安倍首相、伊吹文科相はおろか副大臣、政務官すら応対せず、布村審議官が、「審議会が決めたことで、文科省は口出し出来ない」「検定は適切に行われた」との公式見解を繰り返し沖縄側の要求を門前払いにした。これに対し沖縄県議会は、・文科省があらかじめ合否の方針や検定意見の内容を取りまとめて審議会に諮問していること、・諮問案の取りまとめに当たっては係争中の裁判(旧日本軍将校が軍命はなかったとして岩波書店と大江健三郎氏を訴えている裁判)の原告主張のみを取り上げていること、・審議会の検討の経緯が明らかにされていないこ.と、・これまでの事例ではほぼ文科省の諮問どおりに答申されていることなど検定制度の具体的な問題を指摘した上で、7月11日「県民の総意」として異例の同一会期内再決議を行った。
1982年にも文科省の検定で日本軍による住民虐殺の記述が削除され沖縄側の抗議で回復された経緯がある。日本政府がここまで教科書の沖縄戦記述に拘るのはなぜだろうか。それは戦後60余年が経過し、今や米軍の世界戦略の一翼を担って戦争に加担し、平和憲法を投げ捨て自らも戦争の出来る国家への道を歩み始めた日本政府にとって最も避けたいのは、軍隊が自国民を殺した沖縄の経験に国民の眼が向くことであり、最も必要なのは、国家の為には軍の足手まといになることを思い自決にまで至るという自己犠牲精神に満ちた華氏一体の戦いの美化だからに他ならない。
しかし私たちは、こうした再びの皇民化ともいえる国家主義の押し付けに二度とだまされることはない。
時を同じくして、この5月、米軍再編の最先端となる辺野古新基地建設に反対し、遠い昔から数々の命を育み今もジュゴンの住む美ら海を守ろうとする人々の前に海上自衛隊の掃海母艦が立ちはだかった。戦後のこの国の歴史上、住民運動に対処するため軍が治安出動したのはこれが初めてのことだ。加えて、陸上自衛隊の情報保全隊がイラク派兵反対運動や反基地運動に参加した団体や個人を、業務として監視していたことも発覚した。当時の久間防衛相は平然、とこのことを正当化した。こんなことは決して許されるものではない。
こういう国に日本を造り替えていくことが安倍首相のいう「戦後レームからの脱却」「美しい国づくり」であることが今回の一連の出来事で明らかとなった。
平和で平等な社会を求める私たちは、本集会の名においてこうした事態を引き起こした政府・関係省を強く糾弾するとともに、教科書検定による沖縄戦「集団自決」に係る日本軍の命令削除を撤回することを要求する。
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
2007年7月29日
第38回全国学校事務労働者交流集会参加者一同
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