WEB 全学労連 |
331号−2 |
2010年7月31日 |
2010年5月14日
文部科学大臣 川端達夫様
全国学校事務労働組合連絡会議 議長 菅原孝
アメリカに端を発した金融危機・世界同時不況は、新自由主義の破綻を示すものでした。しかし、この情況を打開していく根本的な政策は示されず、深刻な情況が世界を覆っています。この国においても、昨年夏に実現した歴史的政権交代にもかかわらず、教育を含む社会のあらゆる領域で格差と貧困が広がり、人々の生存権そのものが脅かされつつある情況が続いています。アメリカのオバマ政権は、アフガンへの兵力増派や、沖縄の新基地建設への圧力などにみられるようにその戦争政策を変えていません。普天間基地閉鎖をアメリカにはっきりと要求し、人々が平和の中で共に生きて行ける世界を築いていく第一歩を踏み出していけるかどうかが新政権に問われています。
自民党政権下、義務教育費国庫負担制度(以下義教金制度)の改悪に続き、教育基本法が「改正」され、その実働化が図られてきました。新政権に移行したとはいえ、破綻した新自由主義に基づく「教育改革」ヘの真撃な反省はなされないまま、市場主義−国家主義に貫かれた教育は強められています。それは、(抽出方式に転換されたとはいえ)「全国学力・学習状況調査」が継続され、「日の丸・君が代」の強制等改訂学習指導要領が具体化されようとしていることを見れば明らかです。
私たち労働者、そして子どもたちの前には能力主義を自明の価値とする極めて差別的な労働と教育をめぐる現実が立ちはだかっています。学校は、ますます息苦しい空間に変えられつつあると言わざるを得ません。
また、義教金制度改悪と学校を巻き込む「電子自治体」化の中で、「職務標準」を背景とした労働強化、管理強化が図られ、学校事務の「共同実施」や外部委託化が狙われています。更に文部科学省は、昨年4月遂に事務長省令化を強行しました。私達学校事務労働者は、学校事務職員制度そのものの崩壊すら危惧せざるを得ない状況に直面させられつつあります。
以上の観点から下記事項の実現を強く求めます。
記
(1) 義教金制度において給与費の国庫負担率を1/2に復元すること。また、学校事務職員の制度からの除外(国庫負担外し)を行わないこと。
(2) 「総額裁量制」を廃止すること。
(3) 標準法を遵守し学校事務職員に欠員を生じさせないよう各都道府県教育委員会を指導すること。
(4) 政令指定都市への教職員給与負担移管及び市区町村への人事権移譲を行わないこと。
(5) 「学校事務・業務の共同実施」を推進しないこと。また学校教育法施行規則の一部改正による「事務長」制度化を撤回するとともに、学校事務職員の兼務発令を出させないこと。
(6) 学校事務の「共同実施」並びに「外部委託」に関する調査研究を行わないこと。
(1) 加配方式による定数配置をやめ、学級数や児童生徒数(要保護、準要保護数を含む)を基準とした抜本的な定数改善を行うこと。
(2) 以下のことを各都道府県教育委員会に対して働きかけること。
(1) 全国の義務教育諸学校に事務室及び休憩室を設置すること。そのため、小中学校の設置基準の中に事務室及び休憩室をいれること。直ちに設置基準に入れることができないとしても施設整備指針に事務室が盛り込まれている点について周知徹底するとともに、休憩室を同指針の中に明確に位置付けること。
(2) 教職員の休憩時間を確保すること。そのために各都道府県の教育委員会に対して、労働基準法に基づく休憩を保障する旨の通知を出すこと。また、勤務時間の中に休息時間を設けること。
(3) 勤務時間内の労働組合の活動に対する不当な規制を行わないこと。
(4) OA機器導入により派生する健康への悪影響や個人情綴保護の問題等について、必要な対応策をとるよう関係機関に働きかけること。
(5) 労働安全衛生委員会を設置すること。
(6) 「防災」或いは「安全」の問題については、学校労働者の管理強化、負担の増大に結びつかないよう配慮するとともに、社会的な背景を視野に入れた抜本的な対策を考えていくこと。また、「国民保護法」に基づく保護計画の整備をやめること。
(1) 教育委員会への「日の丸・君が代」実施に向けた「指導」をやめること。とりわけ東京をはじめとする不当かつ強権的な処分行政をやめさせること。
(2) 神奈川県教育委員会による県の個人情報保護条例、同審査会答申を無視した異常な「君が代」斉唱時の不起立教職員に対する氏名収集をやめさせること。
(3) 「日の丸・君が代」の強制、性教育をめぐる差別的な対応(ジェンダーフリーバッシング)をやめること。
(4) 「君が代」を「歌えるように指導する」ことや「天皇への敬愛」を持たせようとすることなど、「愛国心」の押しつけを更に強めようとする新学習指導要領(2008年3月28日告示)を撤回し、国家主義的教育をやめること。
以上
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