2015年11月8日

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全学労連ニュース今号の内容

 私たちは共通番号(=マイナンバー)にいかに立ち向かうか 

 10.5 文部科学省 賃金交渉

 文科省来年度予算概算要求  教職員定数削減と定数計画の危うさと文科省の“本気度”

 連載「チーム学校」  「チーム学校」て、何なんだ

 戦争法制反対の運動を継続し、戦争をしない社会であり続けよう

私たちは共通番号(=マイナンバー)にいかに立ち向かうか

ついに番号通知が始まった!

 いよいよ共通番号通知が10月5日から始まった。自治体や企業によってはほとんど準備が進んでいないところもあり、反対運動からよりもそういった対応不能なところからの声を受けて実施延期もあり得るかと想定していたが、そうした事態はお構いなしにスケジュール通り通知は始まった。ということは、様々な問題や軋轢や矛盾が噴出してくることは間違いないということだ。そうした事態の中に私たちは共通番号の持っている本質的な問題点が露呈してくるだろうと考えている。

 そもそも「税・社会保障・災害対策」の三分野に限定して利用することで番号法は成立したが、10月5日の施行を待たずに拡大法案が成立してしまうという前代未聞な状況となった。要するに当初三分野に限定して利用しようなんていうのはあくまで「表」の顔であり、2020年東京オリンピックでは入場確認としてマイナンバーカードを使おうと公然と語られていることに見られる「裏」の顔は、いかに「危ない」市民をプロファイルしていくのかという治安管理的目的に彩られているのである。最近出てきたNHKの受信料徴取に共通番号を利用しようなんていう計画はまさに「表」の顔とは全く関係ない話である。私たちはこうした目的を持った番号やカードは私たちの社会には必要ないという視点からこの問題を捉えていかなければならない。

学校事務職員としていかに抵抗できるのか?

 さて、一般的な共通番号論のさわりを展開してきたが、この論考の重要な意味は私たち学校事務職員の置かれた位置と私たちが共通番号制度に抵抗していくあり方について検討を加えることにある。

 まず、学校においてマイナンバーの記入が必要となってくる書類はどのようなものが想定されるだろうか?基本的に税と社会保障であるので、まずは税関係書類は申告書としては「扶養控除申告書」「保険料控除申告書」「住宅取得等控除申告書」などの年末調整に必要な申告書である。さらに共済組合に対する各種申告書、資格取得から被扶養者認定、さらには年金関係申告についても記載が必要となってくる。これらの書類は通常学校現場においては、事務職員が介在しているものである。特定個人情報(番号を含む個人情報)の扱いについては、番号法上の「事務取扱担当者」に学校事務職員が該当するか否かはいまだ未定であるが、そうした明確な位置づけについては新たな業務負担として安易に引き受けられるものではないだろう。

 法的には事業主は従業員の個人番号の収集義務が課されている。しかし、従業員には法的に個人番号の提示義務は課されていない。さらに事業主は学校職員の場合、都道府県教委と解釈すべきであり、学校現場は単なる経由点にしか過ぎないのではないのか。

 このような大変曖昧な位置づけで個人番号収集が開始されてしまうのだとしたら、私たち学校事務職員は教職員に対して個人番号記入を決して強制すべきではないと考える。

 よって今後地教委が学校現場に対してどのような指導や説明をしてくるのかを見極めつつ、私たちは当面以下の4点の要求を共通要求として提示するので、全国的に各当局との交渉や協議の際の参考にしていただきたい。

  1. 税や共済組合、社会保険、年金などの申告事務などで個人番号の記入が必要となる場合でも、教職員に対して記入を強制させるような指導を事務職員に対して行わないこと。
  2. 学校現場において個人番号が記載された書類を保管する必要のないようにすること。学校現場は単なる経由地として位置付けること。よって学校現場において個人番号の入力作業も行わないようにすること。
  3. 自治体や学校単位による個人番号カードの一括申請を行わないこと。個人番号カードの申請はあくまで本人の任意な行為であり、団体による申請は強制力を伴ってくる危険性が想定されるため、採用しないこと。一括申請の採用はその団体にとって任意であり、余計な業務を引き受けるべきでない。
  4. 身分証明も兼ねた職員証として個人番号カードを利用しないこと。

 職員証として個人番号カードを利用するということは本来任意である個人番号カードの所持を強制することにあたり、番号法の趣旨を大きく逸脱するものである。絶対にやめてほしい。

番号・カードを受容させる「空気」を拒否する!

 まだ制度が始まる前から、特に個人番号カードについては団体による一括申請を可能にしたり、10%消費税の戻し税のための利用が出てきたり、持たせようという有形無形の圧力を感じる。番号・カードを受容させる「空気」が知らないうちに蔓延していくことを私たちは最も恐れる。そうした「空気」をぶっ飛ばしていくには、各々の場でできる抵抗や拒否を実践していくことが求められていると思う。さて一歩を踏み出し、書かない自由を主張してみよう!

宮崎俊郎(事務局)



10.5 文部科学省 賃金交渉

全学労連は、10月5日、「学校労働者の賃金に関する要請書」に基づき、文部科学省と賃金に関する交渉を行なった。今交渉は政令市への教職員給与費移譲が1年半後に迫る中、各県、各自治体の学校労働環境が大きく変わっていくことが見え始めている中、学校現場、各自治体の反応などの現状を訴え、文科省による改善や助言を申し入れた。

要望事項 文科省回答
1 「57通知」の有効性を認め、少なくとも退職時には旧四等級(1957年当時)に格付けられるよう措置すること。  「57通知」だが国が要望書のような措置をするのは難しい。基本的には今回の回答も、地方公共団体が判断してもらいたい。ただし昨年と違う付け加えたいことがある。
 要望書の中にも政令市の給与負担についてあるが、政令市の方で条例・規則を検討されていると思う。毎年4月に行う(文科省の)財務課の事務担当者会議に今年度から政令市も参加してもらっているが、そこで「義務教育費国庫負担金の政令単価を、事務職員について50歳代後半には6級に格付けされる、到達するものとして算定している」、また「この義務教育費国庫負担金の算定をふまえ、各政令市、都道府県で判断をしてもらいたい」と案内した。
2 再任用の労働条件について、次のようにすること。
(2) 年金が支給停止となる若しくは全く支給されない再任用職員の賃金について退職時の75%が保障されるよう国庫負担金に反映させること。また、実行されるよう措置すること。
 再任用賃金の退職時の75%保障について、まだ現段階では対応をどうするか決まっていないが、25年3月の閣議決定により希望者は全員採用することになっている。今年度の人事院勧告では、雇用と年金の接続を推進するために、関連する制度も含め適切な処置がとられるよう促した。今後の動向をふまえ、義務教育費国庫負担金の取り扱いを検討したい。
 ただ、事務職員の格付けの件と同様、あくまで義務教育費国庫負担金制度の算定上のことで、実際どういう処置をするかは各自治体の判断になるので、みなさんも各自治体に要望していってもらいたい。
3 臨時職員の労働条件について、次のようにすること。
(1) 臨時職員の社会保険・賃金・休暇の実態を文部科学省自らが調査し、公表すること。
(5) 臨時的任用職員の任用が1日ないし数日の間をあけて再度行われる場合の被保険者資格の取り扱いについて、事実上の使用関係が中断することなく存続していることを踏まえ、被保険者資格を喪失させることなく取り扱うよう都道府県並びに政令市教育委員会を指導すること。
 調査・公表はしていない。
 26年1月17日付厚生労働省通知の周知・徹底を図るため、26年2月10日付文部科学省通知・事務連絡を各政令市、都道府県に通知した。また、文部科学省の各種会議でも、その都度周知をはかっている。
 任用のあり方や考え方は各自治体で異なっており、それぞれの自治体が厚生労働省通知に基づき個別・具体的に判断しているため、文科省としては判断しかねる。

 文科省は、昨年と同様、およそ当事者意識のない回答であった。判断を各県、各自治体任せにしていることで、自治体レベルでの相違が出てきている事を解消しようというのが、今交渉の課題だ。

 臨時的任用職員の任期と任期の間の空白期間問題について、2週間以上の空白を設ける自治体が26自治体と半数以上に上る実情と、A県の「育休代替を同一人が続けて行うときは2週間空ける」運用通知を具体的にあげ、総務省通知の趣旨を逸脱する実態を突きつけた。これに対し、文科省は「育休2年目の任用は「新たに設置された職に改めて任用」なので空白を置くことは求められない。当該県には事情を聴くが、任用は各自治体の判断」との回答で、歯切れが悪い。文科省に当事者意識はあるのか!?

 
 全学労連はこの先の教育課題に関し、労働者の立場から今後も働きかける。

文科省来年度予算概算要求

教職員定数削減と定数計画の危うさと文科省の“本気度”

義務教育費国庫負担金は減額要求?

 文部科学省は来年度予算概算要求で“教員の「質」と「数」の一体的強化”のための1兆5232億7500万円を計上した。今年度予算より109億5400万円少ない金額である。これは次に示す4項目から成り立っている。(カッコ内は今年度予算との増減)


@社会や子供の変化に対応する新たな学校教育の実現(義務教育費国庫負担金)

1兆5163億3500万円(▲120億6900万円)

Aこれからの学校教育を担う教員の資質能力の向上

18億7400万円(+2億5700万円)

B多彩な人材の参画による学校の教育力向上〜補習等のための指導員等派遣事業〜

49億4100万円(+8億2300万円)

Cチーム学校の実現に向けた業務改善等の推進事業

1億2500万円(+3500万円)


 一見して明らかだし、計算上も合致するが、要求が減った理由は@の義務教育費国庫負担金、即ち教職員給与費の要求が減ったことに尽きる。

 @の内容を文科省の資料で右に示す。これをみると、

教職員定数の改善増+65億円
(3,040人)
教職員定数の自然減▲67億円
(▲3,100人)
教職員の若返り等による給与減▲119億円

となっている。「対前年度▲121億円」で、億未満の端数があるからピタリとはいかないが、@の減額分▲120億6900万円にほぼ合致する。

 教職員定数で言うと、改善増3,040人が100%実現したとしても(今までの経緯から見てもあり得ないが)、自然減が3,100人あるから60名の実質減を要求段階から認めていることになる。


昨年の要求との違い

 昨年10月9日付「全学労連」367で「文科省の方針転換」・「文科省の苦肉の策」と指摘したが、文科省は昨年の概算要求で教職員定数の自然減を240人下回る2,760人の定数要求(定数実質減の容認)をするかわりに「義務標準法」を改定し、加配ではない安定した教職員定数を確保すべく10年間の「新たな定数改善計画」を実現しようとしていた。しかしそれは今年2月3日付「全学労連」371で「早くも頓挫?」と評したように、今年度予算案では「義務標準法」の改定も「新たな定数改善計画(10ヶ年)」も無く、2,760人の要求が900人に引き下げられた。しかも合理化や学校統合による既存定数の減1,000人が、自然減3,000人に上乗せされてあったから、定数は900−4,000=▲3,100人の改悪となった。

 今回は自然減より60名下回るだけで、昨年よりはましとの見方もあるかもしれない。しかし「義務標準法」の改定は5年後の「第2期≪H32年度〜(新学習指導要領実施)≫」に後退した。また、9年後の「H36年度までの改善予定数」を示し「新たな定数改善計画(10ヶ年)」の2年目であるということを控えめに示している部分はあるものの、昨年の結果を見ると何とも心許ない。政府予算案には出てこず、概算要求には控えめに出てくるということは計画が文科省内部だけのものということなのだろう。繰り返すが、改善増3,040人が100%実現することもまずあり得ないだろう。

「改善計画」への疑問

 文科省としては昨年たてた10ヶ年の定数計画が、初年度から無くなっていては立つ瀬がないから、何とか継続しているとしたいのだろう。しかしそれにはかなり無理があると言わざるを得ない。

 昨年は10年で31,800人の「改善」を計画していたが、初年度に実現したのは900人(これが実態は改悪であることは既述の通り)である。計画がまだ継続しているならば、残り9年で30,900人の改善を求めるべきであろうが、今年の資料では28,100人の「改善」しか見込まれていない。自然減の数も昨年は10年間で▲40,700人、初年度▲3,000人、残りは▲37,700人のはずが、今年は残り9年間で▲33,600人。自然減の見積もりを実態に合わせて訂正したからだとしても、自然減の変動の方が大きくてつじつまが合わない。ちなみに「チーム学校」に関しては、昨年の計画6,950人に対して実現が230人、残り6,720人のはずだが、今年はあと9年で5,950人と770人減っている。果たして9年後に計画当初の人数はどこまで減るのだろうか。

 一般論では、現実にはなかなか計画通りにはいかないと言えなくもないが、財務省や総務省の削減圧力は当然ある訳で、それに対してこんなに数字がブレてしまっていては、最初の計画の根拠そのものが疑われても仕方がないだろう。

「チーム学校」について

 昨年から出てきた「チーム学校」であるが、一部には教員以外の職種に活躍の場が与えられたと喜んでいる向きもあるようだ。だが資料にある通り来年度660人、9年間で5,950人程度の増員(何度も言うが、これがそのままの数で実現する訳でもなく、基礎定数として算入される訳でもない)で「学校の組織的な教育力の充実」がどれほど実現できるというのか。

 勤務実態調査で時間外勤務の無いはずの教員の超過勤務の実態が明らかにされてしまい、給特法の建前上、教員の“多忙化”を解消しなければならない。実は教員だけでなく学校全体、もっと言えば社会全体の労働者が賃下げと合理化でゆとりをもって働くことが許されなくなっているのだが、とりあえず教員の多忙化解消対策のために、他職種の学校職員をもっと働かせようというのが「チーム学校」という名の労働強化型合理化である。

 労働力を上手く組み合わせて効率を高めようというならば、それぞれの職種の職務内容分析から始め、どれほどの人員が必要かを割り出し、それに見合った法改正を伴う定数計画を策定すべきであろうが、1校1〜2名の職種の増員が教員の増員にも満たないような計画で、しかもそれを加配で済まそうという安易なやり方には、本気で学校の現状を変えようとする迫力は感じられない。そんなものにもっと安易に便乗して、活躍の場を求めるなどというのは自らの首を絞めるに等しい。

 冒頭に揚げた4項目のCは「チーム学校」のための業務改善を進めるためのものらしいが、内容は義務教育費国庫負担金の枠外で、学校外部から「学校サポートチーム」「業務改善アドバイザー」を呼んできて、安上がりに使おうというものでしかない。これもまた安易というべきであろう。

 「チーム学校」に限らず、教職員定数に対する文科省の“本気度”が問われている。



連載「チーム学校」

「チーム学校」て、何なんだ

「チームワーク」の「チーム」とはわけが違う

 昨年あたりから文科省は「チーム学校」をいろいろ言い出している。今回、「チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会」が「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」(中間まとめ)を出し、さらに来年度概算要求でも「チーム学校の推進・・・」で定数改善を要求している。

 さて、「チーム学校」と聞けば、「チームワーク」だとか「協力・共同」をイメージしているのかなと思ってしまうが、そんな牧歌的なものではない。

 しかし、「協力・共同」と勘違いをするのは、もっともなものである。「チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会」への意見具申で、各団体がいろいろ提言している中、全国市町村教育委員会連合会は「忙しい中、今までも『チームとしての学校』として努力をしてきている。」などと、文科省が言っているこれからの「チーム」と従来の学校文化を取り違えている。

 では、「チーム学校の在り方(中間まとめ)」でいう「チーム」とは何なのか。「校長のリーダーシップの下、…学校の資源が一体的にマネジメントされ、・・・」と、あくまでも「校長のための組織」が強調されている。さらに、具体的施策では、専門職の配置に触れながら「校長がリーダーシップを発揮できるような体制を整備する。」と、あくまでも、学校マネジメントの新しい手法としての「チームとしての学校・教職員」を言い出しているのだ。

文科省の失敗と弥縫策

 「中間まとめ」のはじめにで、「地方分権等の大きな方向性の下、学校の自主性・自律性の確立を基調とした施策が進められており、2007年には副校長、主幹教諭、指導教諭という新しい職が設置されるなど、学校の組織運営体制は整備されてきている。」と記している。

 が、別のところでは「近年、管理職選考の倍率の低下や、希望降任の増加など、管理職の魅力が低下しているのではないかという指摘がある。」と学校の組織運営体制の綻びを自ら明らかにしている。

 この点に関しては、全国連合小学校長会長が「全国的に問題になっている管理職候補者の減少については、云々」と問題を指摘している。

 つまり、副校長・主幹教諭・指導教諭など教員の階層化を図り、学校管理強化策を行ってきた文科省は、それがうまく回っていないことを棚に上げ、外的環境の変化を取り上げながら、次の管理強化策を提案しているに過ぎない。教員の階層化で失敗したから、弥縫策として、今度は学校事務職員などを「校長の管理強化の手先として利用する体制」を作ろうとしている。これが「チーム学校」である。

学校事務職員にとっての「チーム学校」

 「チームとしての学校」像(イメージ図)なるポンチ絵を作業部会事務局が作成したが、これが興味深い。(中間まとめ 7ページ)これは、従来の学校から未来の学校の職員を描いている。

 まず「従来の学校」では、自己完結型で鍋蓋型の学校構造としているが、事務職員は全く登場していない。「現在の学校」では、主として教員のみを管理することを想定したマネジメントとして、副校長や主幹教諭は階層化されて登場するが、事務職員の姿はやはり影もない。ようやく登場するのは「チームとしての学校」で、微妙な位置(管理職集団でも教員集団でもなくぽつんといる)に登場してくる。事務職員に日の目が当たるのは、まだ先のことのようである。

 今回の「中間まとめ」での事務職員への言及を見ておこう。

 事務職員が取り上げられるのは主として、「学校マネジメント機能の強化」の「事務体制の強化」の部分である。

「今後、事務職員には、その専門性を生かしつつ、より広い視点に立って、副校長・教頭とともに校長を学校経営面から補佐する学校運営チームの一員としての役割を果たすことが期待される。」

「教頭は、事務業務の負担が非常に大きく、校長の補佐や人材育成等の業務を十分に果たしていくためには、教頭の業務の改善を図っていくことは不可欠であり、教頭と事務職員との間での業務の連携や分担を進める必要がある。」

「副校長・教頭や教員が行っている管理的業務や事務的業務に関して事務職員が更に役割を担うことが効果的と考えられる。」

 このように、押しなべて「事務職員業務量を増やす」視点である。事務職員がようやく「学校のチームの一員」として登場させていただけたが、それは副校長・教頭・教員の仕事を引き受ける役割としてなのである。

 そして、改善方策として挙げたのが、「国は、事務職員の職務規定を見直し、事務職員が学校運営に関わる職員であることを法令上、明確にすることを検討する。」「国は、事務職員の標準的な職務内容を示すことを検討する。」を挙げている。

 事務職員に仕事を強要する道具として「職務標準」を考えている。その他に、一定規模の学校には「事務長」や「共同実施で事務機能の強化」をうたっている。

 事務局作成のポンチ絵はもう一つある。(12ページ)そこには、教員の本格的な業務以外を他の職員にさせる図が作られている。スクールカウンセラーなど専門スタッフが標準法組み込まれるのは遠い話で、結局は事務職員の労働強化の姿が露骨に示している。


(以下、次号)

教育諸団体の意見から本音が透ける

「チーム学校」はできるのか

労働強化に反対し、事務「職人」魂




戦争法制反対の運動を継続し、戦争をしない社会であり続けよう

 まことに残念ながら戦争法が国会で強行採決されてしまった。しかしこれで終わった訳ではない。法案成立の強行突破を図る政府・与党に全国から多くの反対の声が巻き起こった。それは明確な反戦・反安保の意思を持った運動体だけではない。日米安保や自衛隊は容認するが、戦後の安全保障政策や憲法解釈をないがしろにすることに立憲主義の危機を感じた人々や、政府与党の手法に戦争国家へ向かう漠然とした危機を感じた人々を巻き込んでいった。この三者は明確に分離されるものではなく、民衆の権力に対する素朴な意思・不信感が媒介となって運動を統一的に押し上げていったのだと思う。その素朴な意思による運動が野党の結束を促し、最後まで徹底抗戦を貫かせた原動力になったのだろう。言い換えれば国会内での取り組みは、国会外の運動の高揚如何にかかっているということだ。

 法の成立で終わったと考えるのは間違いで、委員会採決に対する疑惑やそもそも法そのものが憲法違反ではないかということは今後追及していく余地は十分ある。さらに、この間の矛盾だらけの政府答弁は法の実際の適用に当たり、手かせ足かせとなっていくだろう。来年の参議院選挙も重要である。こう考えると、戦争法廃止に向けてこれからやる事はいっぱいある。

 全学労連も戦争法の廃案を求めて何度も国会周辺に足を運んだ。その取り組みの一部を下の表に記録としてまとめてみた。だがあくまでもこれは私(佐野)のかかわりの範疇でしかないので、3点ほど補足として指摘させていただく。

  1.  これ以外もこれ以前の取り組みもあったが割愛しているのは当然として、これ以後も取り組みは継続しているし、継続させていくつもりである。
  2.  表の中にも出てくるが、この取り組みは脱原発・再稼働反対の運動、及び沖縄辺野古への新基地建設反対の運動と一体のものとならなければ真に全国的な運動となることは出来ない。
  3.  国会周辺だけでなく全国各地での取り組みがあり、それが総体として世論を押し上げて政府与党を追い詰めてきたことを忘れてはならない。

全学労連議長 佐野 均





後記

▼ 今号からニュース作成の担当になりました。紙のニュースを作るのは何年かぶりで、いろいろと戸惑います。ワードって細かなレイアウトには向かないのですね。
▼ 共通番号(マイナンバー)がいよいよ始まります。事務職員は仕事がら事業者の立場にもなるので教員に対して「扶養控除申告書にはマイナンバーを書かなきゃダメだよ」と高圧的になりかねない。しかし、事業者がマイナンバーに協力するのは「努力義務」なのだから妙に勘違いすることもない。
▼ 文科省は予算獲得のための方策として「チーム学校」を持ち出している。「チーム」というと仲間意識や助け合いを思い浮かべてしまうがとんでもない。中間報告をネタに何回かに分けて分析します。
▼ そして文科省交渉。地方分権の名のもとに地方はやりたい放題。組合が「文科省しっかりしろ」と言うのも変な話だが、事態は混沌となりそのとばっちりが現場に来ている。
▼ ということで、あれやこれやですが、今後ともよろしくお願いします。



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