2024年2月24日

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全学労連ニュース今号の内容

 文科省 「働き方改革」調査結果・通知を発出  「徴収金は事務職員が管理」の記述消える  「標準職務例」「働き方改革」による業務転嫁反対

 学校事務職員の精神疾患による病気休職者の状況

 私たちは学校現場で苦闘する共同実施支援職員の労働条件改善を求める!  超勤したら手当請求を!

文科省 「働き方改革」調査結果・通知を発出
 「徴収金は事務職員が管理」の記述消える
  「標準職務例」「働き方改革」による業務転嫁反対

 昨年十二月、文科省は二三年度の「教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査」の結果を明らかにするとともに、それを踏まえた「留意事項」通知を都道府県・指定都市教育長あてに発した。
 文科省は昨年度、同様の調査結果と「補足事項」通知の中で学校徴収金業務について、学校事務職員が週一回集まる「事務センター」で一括処理する熊本県南関町の事例を紹介するとともに、「事務職員が一括して管理する等の方法により、教師が関与することがない仕組みを構築する等の取組を進めること」などと、学校事務職員への業務転嫁を促す動きを見せた。
 元来、学校徴収金の徴収・管理は「学校以外が担うべき業務」(自治体において行うべき)とするのが、一九年の中教審答申・文科事務次官通知以来の大原則。昨年度の文科省の動きはこれに反するものであるとともに、教員の負担軽減を学校事務職員への業務押し付けでお手軽に実現しようとするものであり、到底容認できるものではなかった。
 このため全学労連は七月の文科省交渉でこの問題を追及、撤回を迫った。文科省側は二〇年の「標準職務例」通知を持ち出して正当化を図ったが、より上位の方針である中教審答申・事務次官通知等との矛盾について明確な説明はできなかった(詳しくは全学労連ニュース四四九号掲載)。同時に、日教組や全事研が歓迎した「標準職務例」通知が案の定、
業務押し付けの道具であることも明らかになった。
 全学労連は一二月初頭にも文科省交渉を持ち追及。この席では文科省側も、学校徴収金業務は学校ではなく自治体が担うべき、公会計化を進めるべき、とする認識を言明した。
 そうした経過の上で出された今年度の「取組状況調査」結果と通知では、徴収金業務の学校事務職員への転嫁を推奨する姿勢は消え、「公会計化」のトーンに移行した。あるべき方針に立ち戻ったと言えよう。
 目下「働き方改革」の名のもと、教員から学校事務職員への業務転嫁を図る圧力や具体的な動きが各地・各校で進行している。学校徴収金業務はその筆頭だ。日教組系組合はそれに対抗するどころか、むしろ率先して先導しさらに他の事務職員にも号令をかける有様だ。「先生は忙しいから・大変だから」「教員不足だから」「子どものためだから」などと言って、学校事務職員が今以上に仕事を引き受けるようなあり方はまったく間違っている。なすべきは学校業務そのものの縮減であり、すべての職種における業務負担軽減だ。
 学校事務職員の労働条件・労働環境を守る労働組合の結集体として、全学労連は引き続き尽力していく。

(事務局・伊藤拓也)



学校事務職員の 精神疾患による病気休職者の状況

 全学労連は以前から教員よりも学校事務職員のほうが精神疾患による病気休職者の割合が高いことを指摘しているが、近年、学校事務職員の病気休職者の割合は深刻化し、危機的状況になっています。
 昨年一二月二二日、文部科学省の「公立学校教職員の人事行政状況調査」によると精神疾患による病気休職者が全体に占める割合は、二〇二二年度で教員が〇・七一%(前年度〇・六四%)のところ事務職員は一・〇三%(前年度〇・九五%)にのぼります。
 様々な報道で教員の精神疾患による病気休職者が多いことは着目されているが、事務職員の割合がそれを超えている、差が広がっていることに着目してはいないのが現状です。


 身近の学校事務職員で休職されている方がいますので少し紹介します。
 児童数一千人を超える県内でも上位の大規模校、県費職員が五十人以上在籍、事務職員も複数配置されています。新採用の当該Aさんはベテランの事務職員と組んでいましたが、相方の異動により採用六年目のBさんと仕事をすることになりました。Bさんは当初より休みが多かったのですが、翌年になるとさらにさまざまな休暇を取得し、出勤する日は月に一〜五日しかない場合もありました。長期休業中はあまり休まないけれど課業日中は休みが多くなってくるようです。Bさんも心が不安定なのかもしれません。仕事分担はAさんが県費(給与・共済等)、Bさんは市費(財務等)としていたようです。Bさんは分担の業務についてAさんに伝えていないため、約束していた業者がBさんの休暇中に来校した時は、Aさんはお詫びばかりしていたようです。また、学校配分予算管理の現状等もわからないので、職員からの物品購入要望があっても対応できなかったようです。校長に相談しても「人間関係を築けないあなたが悪い、仲良くやってね」と言われるだけ、教員たちも中には「電話は早く取りなさい」と言ってくる人もいて相談できる人がいなかったようです。最初は一か月の病気休暇を取得し、復帰しましたが、少したったころ九十日の病気休暇その後病気休職となってしまいました。
 その間、私はAさんの母親(前任校の教員)から頼まれて組合としてではなく市内事務職員として、Aさんの母親と地教委に相談しにいきました。地教委はBさんがそんなに休んでいること、校長が親身に対応していないことなど全く知らずにいました。その時、この文科省の調査結果を示したところ事務職員の休職率の高さに驚愕していました。翌日、地教委担当職員は当該校へ出向き校長に指導したようですが、Aさんはすでに出勤することができない状態になっていました。私も力になれずに残念なおもいをしました。


 なぜ、学校事務職員の精神疾患による病気休職者がこんなにも多いのでしょうか。
 それは、「チーム学校」といいながら、管理職・教員が面倒な仕事を学校事務職員に押し付けてくるからです。電話応対、来客対応等、大切なチームの仕事は一緒にはやってくれません。にもかかわらず、「働き方改革」の名の下に、学校の負担軽減ではなく、教員の負担軽減のため、事務職員にいろんな多くの業務をやらせます。くわえて、教育事務所再編(県職員の合理化)により事務所が今まで行っていた業務が学校事務職員へおりてきています。それなのに、「共同実施」が導入されている自治体では事務職員の病休代員を配置しなくなったところもあり、もう、めちゃくちゃです。


 学校のなかで、事務職員の業務が多少滞っていても教員はなかなかわかりません。学級担任が同じように休んでいたらかわりに誰かが仕事をしてくれるが、事務職員の場合はそうではありません。それが逆に自由度があるよさもあるけれど・・・。
 私たちは、事務職員にこれ以上、精神疾患による病気休職者を出さないためにも教員だけの「働き方改革」を押しとどめ、教職員の増員と学校が担う業務・役割そのものの削減を求めていきます。



私たちは学校現場で苦闘する共同実施支援職員の労働条件改善を求める!
超勤したら手当請求を!

東京では七つの組合が共同実施反対で7者協議会に結集して闘う

 本紙でも紹介してきたが、東京では学校事務職員の組合が七つに分裂している。
 しかし十二年前、立場や方針の違いを乗り越え、学校事務の共同実施反対を基軸として七つの組合が共闘組織である7者協議会(以下「7者協」)を立ち上げた。その後都教委とのやり取りは7者協が担い、5年連続で新規共同実施自治体を出さない画期的成果をあげている。

誠意のない都教委回答

 昨年一〇月一一日に7者協が都教委に提出していた共同実施に係る解明要求・要求書に対して一〇月三一日に文書回答(文末参照)がなされた。
 コロナ前は所管課と協議の場が設定されていたが、そうした設定も一切行わず、一片の回答で済まそうとする都教委の姿勢は非常に残念である。当然のことだが、支援職員にも超勤手当相当の報酬を支給するとの回答を活かして超勤請求していきたい。

五年連続新規導入地区はなし

 都教委は共同実施開始直後に十年で全地区に導入する計画を公表した。ところが十年経って全都で十地区のみしか実施できていない。さらに、来年度も含めて五年間新規導入地区ゼロであり、通常の施策であれば失敗と見なされ、予算がつかないレベルである。廃止を求める私たちの要求に対して、何の理由説明もなく、「廃止する予定はない」と回答したが、都教委はその理由を明らかにすべきだ。

国基準通り定数加配せよ!

 国の事務職員加配基準には要保護・準要保護児童生徒数と学級規模に応じて事務職員を加配する基準が存在するが、都教委は国庫負担の総額裁量制をたてに、その配置基準を二〇一四年に改悪した。明らかに標準定数法違反だと私たちは批判してきたが、職員定数は「管理運営事項」であるとして私たちの声を聞こうとしなかった。国には事務職員の加配数として申請しながら事務職員の加配をしなかったため、事務職員はここ十年にわたり劣悪な条件で働かされてきたのだ。再度改善を強く求める!

政策主体はあくまで都教委だ!

 導入の可否を決めるのは地教委だ、という回答はこれまでもなされてきたものだ。しかし、学校事務の共同実施という政策を推進している主体は都教委だ。でなければ毎年状況調査を行う必要性がないはずだ。調査の結果を踏まえて学校事務の共同実施の評価を行い、方針を定めるのが本来のあり方であろう。
 共同実施に対して都の予算を執行し続けることは行政機関としてあまりに無責任な姿勢である。都教委は各地区の実態をしっかりと把握して政策廃止に踏み切るべきだ。

超勤したら超勤手当の請求を!

 私たちはこの間の独自調査においても、共同実施の地区の学校現場で苦闘する共同実施支援職員の方々の労働条件がひどいものであると認識している。
 特に時間内に仕事が終わらず、時間外勤務を強いられながら、超勤手当請求が予算の関係でできないと言われている地区もあるとのことである。
 そもそも超勤しないで済む業務割り振りがなされるべきであるが、やむを得ず超勤した場合には、超勤手当の措置がなされるのは当然である。支援職員に超勤手当相当の報酬が支給されることを、都教委は地教委を通じて共同実施地区に周知徹底するべきである。
 超勤ばかりでなく、共同実施導入地区の会計年度任用という処遇で働く共同実施支援職員の方々の勤務状況がなかなか伝わってきていない。都費事務職員を現場から引き上げて、最もしわ寄せが生じるのが共同実施支援職員の方々だ。(7者協ニュース第三四号より内容転載)

7者協は支援職員に対してアンケートを実施  現場の声を聞く!

 7者協は共同実施十地区一七〇余名の共同実施支援職員の皆さんに個別に上記の7者協ニュースを配布するとともに、現場状況についてのアンケートも同封した。
 いま私たちが求めているのは共同実施地区の学校現場の状況をリアルに把握することだ。最もしわ寄せが来ているのが学校現場に違いないと想定しているので、それを裏付ける材料を手に入れたい。

全学労連のHPで東京の7者協ニュースが読める!

 東京の7者協は現在HPを持っていないため、様々な場面で7者協ニュースを宣伝してもらおうという方針を確立した。傘下組合ばかりでなく、関連グループのHP等への掲載も歓迎するという。
 全学労連は学校事務ユニオン東京も参加している7者協の闘いを支持し、支援を惜しまない。全国的に共同実施廃止に向けて闘う7者協の取り組みをより広く知ってもらうために、創刊号から7者協ニュースを読むことができるページを開設した。
 7者協ニュースを読みたい方は全学労連ホームページからどうぞ!

宮崎俊郎(学校事務ユニオン東京)




学校事務の共同実施等にかかる解明要求並びに要求書

7者協

  要求内容 回答 担当課
 学校事務の共同実施について4年間新規導入地区が出てきていないこと、非導入地教委からも導入にあたっての肯定的な見解が少ないことなどを勘案して都教委の推進する学校事務の共同実施「事業」の役割が終了したこと自覚し早急に廃止して撤退すること。既導入10地区も元の学校事務の形態に戻し、1校1名の配置とすること。会計年度任用職員は当面は加配確保し、正規職員に全て転換すること。「事業」補助金交付要綱も廃止すること。  現時点で共同実施支援事業を廃止する予定はない。 総務課学校事務人事担当
 「定数配置基準」に標準定数法第9条3号の大規模校加配と法第9条第4号の就学援助加配を法律に基づき、規定すること。共同実施に伴い削減した86名も含め標準定数法に基づき、国に申請した定数どおり、法に基づき配置をすること。  職員定数の決定及び配置に関する事項は、都教育委員会が自らの判断と責任において処理すべき事項である。
 「都費事務職員の数が減らされ、学校現場に会計年度任用の支援員しか配置されないことへの不安感」「学校経営支援組織において都費事務職員が中心的存在であるという点で共同実施は相容れず正規職員が必要」との地教委の声にどう応えるのか 回答すること。  学校事務の共同実施については、各地教委が導入のメリッ ト・デメリットを検討の上、導入の可否を判断するものである。
 「校務改善のための経営支援組織には都費事務職員が中核的存在でいてほしい」という地教委の要望と共同実施は相反することになるが、学校現場の共同実施支援員は経営支援組織の一員として想定されるのか。この観点からも学校現場の校務改善と学校事務の共同実施は矛盾をきたすという評価がされているが、都教委としての考えを回答すること。
 共同実施地区の共同実施支援職員に様々な業務のしわ寄せが集中している学校があるようだ。特に現在超過勤務手当が措置されていないにもかかわらず、超過勤務の実態が報告されている。共同実施支援職員の超過勤務について都教委として調査を行うこと。
 また超過勤務の実態があるのであれば、業務の見直しを行うよう要求する。それでも超過勤務の必要のある場合を想定して、超勤手当を予算化し、やむを得ず超勤せざるをえない場合に超勤手当を措置できるよう財政措置を講ずること。
 会計年度任用職員の勤務時間等については、「東京都公立学校会計年度任用職員設置要綱」及び「東京都公立学校会計年度任用職員の勤務時間、休暇等に関する規則」等で規定しており、やむを得ず所定勤務時間を超える勤務が発生した場合には、所属長の命令に基づき実施した超過勤務時間に対応した超過勤務手当相当の報酬の支給することとしている。




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